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メルヘン論・「灰かぶり」②と「米福粟福」

前回、ハシバミの木が、地上の灰かぶりと天国の実母とを結ぶ架け橋であることは述べた。
天界と地上界を結ぶものは、このハシバミの木にやって来る「白い小鳥」も同様である。
「シンデレラ」では魔法使いのお婆さん、「サンドリヨン」では仙女が少女の力になるが、「灰かぶり」では小鳥が、お城のパーティーの為のドレスなどを彼女にもたらすのだ。

小鳥が天界と地上界の架け橋である「天使(アンゲロイ、エンジェル)」の象徴であろうことはイメージしやすい。
魔法使いのお婆さんにしろ、仙女にしろ、人間界の者か、異界の者か、友達以上恋人未満的な微妙な存在である。その意味では、両者とも「仲介者」として、小鳥つまり天使と同様の意味を持つのだろう。

更に和製・灰かぶりとも云うべき、「米福粟福(こめんぶく あわんぶく)」という日本昔話においては、山姥がその役割を果たしている。この山姥は、蓬髪の中にむかでやなんかの毒虫がうようよと生息しているのだから、不潔な天使もいたものだ。
話によっては山姥の代わりにお地蔵さまが登場するが、これは日本版天使と思えば分かりやすい。

「灰かぶり」で、小鳥によってもたらされたのは、金、銀、そして星のように輝くドレス、つまり太陽や月、星々の叡智を身に纏うものであった。
前回、義姉がねだったドレスは、ルツィフェルの比喩、と述べたが、同じドレスでもここでは意味合いが違う。
着物は「身に付ける」「表面だけ飾る」「本質を覆い隠す」など色々な要素があるので、物語の文脈によってどういう比喩で用いられているのか、注意深く読み取る必要がある。

シンデレラやサンドリヨンでは、有名なガラスの靴が登場するが、グリム童話では「金の靴」となっている。前回冒頭で紹介した、「灰かぶり無精者説」を唱えた某メルヘン解釈の本では、この靴をめぐる王子の様子から、王子は、

足フェチ

であったとの仮説を打ち立てていた。足フェチって。随分ザックリ断じたものだ。

人智学的に読み解くと、靴は足つまり「意志」の要素であり、大地に触れる物だ。
二人の姉がこの靴を履こうと、それぞれつま先やかかとを切り落としたのは、「意志の放棄」なのだそうだ。
そうしてまでにせの花嫁になろうとした二人だが、結局は天使存在である2羽の白鳩によって、正体を暴かれている。

そして、王子と少女との結婚。これは「自我=王子」と「魂=少女」が結び付くことを意味するそうだが、それがどういうことなのかは、今後、色々なメルヘンを考察しつつ、じっくりと述べたい。

これまでの人智学的考察を踏まえて、灰かぶりを子供に読み聞かせる時、悟性を超えた感情が心の中に芽生えるだろう。

さて、物語はこのまま「めでたしめでたし、とっぺんぱらりのぷぅ」では終わらない。王子と灰かぶりの幸せにあやかろうと参列した二人の義理の姉の両目を、件の2羽の白鳩が、つつきだしてしまうのだ。そして二人は一生目が見えませんでした、というのが、物語の結びである。
つまり、悪魔的な欲望に取り憑かれた者は、精神の目が曇るということなのだそうだ。
ここで、ふと思う。鳥が「天使」の象徴なら、天使が姉達の目を潰したことになる。天使がそんな残酷なことをするのだろうか?

・・・するやも知れぬ。
尤もそれは懲罰の為ではない。天使学によると、人間に死や病気をもたらしたのは、悪魔などではなく、他ならぬ天使存在だというのだ。
とんだパンドラの壺である。
が、天使存在はパンドラを人間界に遣わしたゼウスとは違い、人間をある作用から守る為にこれらをもたらしたのだそうだ。が、この事は理解や受け入れることが困難だと思うので、ここではひとつの観点として提示するに留める。
と云うか、天使が存在することを前提に色々述べている私も、大人として如何なものか。

ペローのサンドリヨンやシンデレラの物語のラストは、グリムの灰かぶりのような残酷さは無いが、例の「こめんぶく あわんぶく」のラストは、「灰かぶり」に近い。

灰かぶりの類型の物語は世界各地に見られるそうだが、「こめんぶく あわんぶく」も大同小異、「灰かぶり」や「シンデレラ」との共通点の多さに驚かされる。例を挙げると、

「灰かぶり」    「こめんぶく あわんぶく」
(または、シンデレラ)

継母        [地上界]    継母

義姉        [悪魔]     義妹

白い鳩       [天使]     
(魔法使いの老婆)        山姥

王子        [自我]     長者の息子

等々。また、いやがらせの手口も同じで、宴会またはお祭りに行く条件に、またはを大量にぶちまけられ、それらを一粒残らず拾うことを要求されるのだ。そして、それを小鳥たちの助けを借りて解決するというのも共通している。

話によっては灰かぶりの金の靴よろしく下駄を落としていくものもあるが、或いは「灰かぶり」を意識して、後世に付け加えられたのかも知れない。

ともあれ、玉の輿に乗るまでは双方同じ様に物語が展開してゆく。が、長者の倅にあわんぶくが嫁入りしたあたりから、物語は風雲急を告げる。
あわんぶくを羨ましく思う義妹のこめんぶくは、「私も嫁に行きたい」と、母にせがむ。母はよしとばかりにあわんぶくを石臼に乗せ、それを引きつつ、

「嫁はいらんかねぇ!」

と呼ばわるのだ。大安売りにも程があるって!仮に私が童貞をこじらせて、一生結婚出来ないのでは、と思い悩んでいたとしても、もう、女性だったらどなたでも選り好みいたしません、という程に追い込まれていたとしても、こんな不気味な母娘と家族になるのは真っ平御免である。

そしてこのバカ親子、畦道で転倒し、石臼ごと田んぼに落ちて、


タニシになってしまいましたとさ。

って、えええ!?これまで灰かぶりと同様の粗筋やモチーフで、あわんぶくが幸せに結婚するところまで構築しておいて、オチがタニシ!?シュールすぎでしょ!?

だが、考えてみると、タニシは暗い貝の中で、わずかな明りを感じる程度の触覚で、周囲を幽かに知覚しつつ生活している。これは、両の目を失った「灰かぶり」の姉達の境遇と同じことを意味してはいないか?
精神的な視力が損なわれることを、タニシになることで象徴していると解釈すると、見事なまでに「灰かぶり」と一致していると云える。

・・・それにしても、イキナリタニシって・・・。 



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コメント

「幕末列伝」
昨日コンビニで買って読みました。
土方歳三の話が一番良かったです。
次は白虎隊、そして永倉新八の話です。
あの時代は運悪く早死にする人。
偶然かも知れないけど長生きできる人。
極端な時代ですね。
>蟷螂の斧さん
ご感想有難うございます~^^
土方歳三は、私が歴史に興味を持ったとっかかりの人物なので、私自身、思い入れは大きいですね。。

幕末に生きた人々を俯瞰して見ると、本当に何か大きな流れが存在するように思われます。流れに逆らった人々は勿論、流れの数歩先を行っているような、先見の明がある人々の多くも、この流れに飲み込まれています。
坂本龍馬、大久保利通、河井継之助といった人々の理想が現実化するには、当時の人々にはまだ早すぎたのかも知れません。

いずれにせよ、早死にしたとて、現代の我々からすれば、かなり凝縮した人生だったでしょうね。
そうした人達の人生に思いを馳せつつ、更なる作品作りに励んでおりますσ.σ
歴史好きの上司
うちの職場の上司に「幕末列伝」を貸しました。
上司がある一場面について感心していました。第十一話「白虎と、クマと」の一場面です。
白虎隊が弁天洞を抜けて、飯盛山・中腹・弁天社前にバシャバシャと出て来る場面です。
「この人、よく研究してるねー!このほんの1カットを見ただけでそれがわかるよ。」と言ってました。
他には、お慶が坂本龍馬に接近した理由ですね。亀山社中乗っ取りです。

僕なんぞはいつまでたっても歴史に関して初心者ですから、その上司に教えてもらう事が多いです。

上司と僕の意見が一致した事。「大久保利通は、あの大きな功績の割りに評価が低いし、人気がない。」と言う事です。明治の為に、日本の為に、あれほど尽くした人なのに、悪の部分を引き受けたからですね。不平士族を押さえる為に旧会津藩だった人達を鎮台兵として使った点を含めて。
暗殺された時に、大久保の家にはそれほどの資産が残っていなかった。大久保らしいです。
上司が「大久保もさぞかし無念だったろうね・・・・・。」と語っていました。

あき乙女さんがおっしゃる通り、あの時代に活躍した人達は凝縮した人生だったと思いますね。
高杉晋作が亡くなったのは何と満27歳です。驚きです!
>蟷螂の斧さん
上司の方への広報活動有難うございます^^
歴史は本来、一つの事象でも見る角度によっていかようにも解釈出来るし、資料もあったりなかったり、あっても矛盾する内容のものがいくつも・・・といった感じで、何が正しいのか断定が難しいですね。
大久保利通なんかは本当に意見が分かれる人物です。。私も、もっと評価されてもいいと思っていますが。
マイナス面が強くて、功績が評価されにくいんでしょうかね・・・。おっしゃる通り、公金の赤字補填に私財を投げ打って、資産が殆んど残っていなかったことはあまり知られていないようです(--;

職場に同じ趣味で語り合える上司がいらっしゃるのは、とても恵まれてますね!^^上司の方にもよろしくお伝え下さい~。。

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