シュタイナー学校の人びと

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  2. 2008/01/04 若者と希望
  3. 2007/12/12 食育の破壊神

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若者と希望

ある日、上級生の母の小リスさん(仮名)に、こう云われた。

「あき乙女さんって、妖精っぽいよね」

自称・「弁財天の化身」である私だが、フェアリーと云われて悪い気はしない。
ところが小リスさん、

「いや、フェアリーとか、羽の生えてる系じゃなくて、なんかキノコの陰にいそうな

って、土の妖精、ドワーフかい!
「それで、ナメクジからキノコを守ってそう」
だって。どんなイメージだ!?挙句の果てに、

「あき乙女さんて、人間離れしてますよね、良い意味で」

って、「良い意味で」と云えば何でも誉め言葉にはならないっての!

また、以前小リスさんと並んで歩いていた時、小リスさん、突如転んで尻餅を付く。
「大丈夫ですか?」
幸い、怪我はない。それにしても、つまづく要素が何も無い、平坦な道である。
小リスさん、立ち上がりつつ、

「まぁ、すねこすりの仕業って事で」

って、そんなまとめ方かい!?そもそも「すねこすり」は日常会話に登場する程メジャーな妖怪か?

この小リスさんの御長男・ロッキーチャック君(仮名)は、現在最上級生の十一年生なのだが、これが母の小リスさん同様、愛すべき天然キャラである。
学習発表会でナントカ幾何学とか云う小難しい発表をしていたのだが、

「この直線cと交わるのが、点qで御座います

って、そこは普通に「点qです」で良さそうなものだ。何も接点q に対してそこまでへりくだる必要は無い。

これに対し、小リスさんは「丁寧語の使い方が変なのよ!」と、手厳しい。他にも母として不満が多いらしく、「もっと早くシュタイナー教育を知っていれば良かった」等とこぼしてはいるが、それは親の欲目、ロッキーチャック君は個性的な好青年である。
尤も親という物は、我が子を過小か過大か、いずれかに評価しがちで、なかなか客観的に見られないものだ。
それに、シュタイナー教育との出会いに、「遅過ぎる」という事は無いのではないか。ロッキーチャック君を見る限り、そう思えてならない。
その根拠たるエピソードの前に、ある調査結果を紹介したい。

最近、ドイツで、シュタイナー学校の卒業生を対象に、調査がなされたそうだ。
調査を行ったのは、公正を期す為、シュタイナー教育関係者や人智学者を除いた研究グループで、シュタイナー学校卒業生の中から1200人を抽出してアンケートを行ったそうだ。

その調査によると、卒業生の職業で最も多かったのが、「教師」で14,5%。2位、「エンジニア」で9,8%、3位「学者」9,5%と僅差で続く。
以下、医者やナース、セラピスト、薬学者等の医療系、芸術家、福祉士、商業、事務、法律家に職人・大工、その他諸々と、実に幅広い職種に偏る事無く就いている。

また、ドイツの公立学校の大学進学率が30~40%なのに対し、シュタイナー学校のそれは68%にのぼるそうだ。「芸術偏重」と偏見を持たれがちなシュタイナー教育だが、確かな学力が身に付く事が分かる。

また、卒業生の多くに共通した特徴として、「クリエイティブ」、「困難を乗り越える能力」、そして「人生に希望を持ち、肯定的」であるという。

ある日、小リスさんは新聞か何かで、「現代の若者の80%以上が『人生に希望が持てない』と回答」といった内容の記事を見たそうだ。尤も思春期の若者は斜に構えがちなので、これは必ずしも憂慮すべき数値ではないかも知れない。
ともかく、小リスさん、長男に訊ねたらしい。
「ねぇ、ロッキーチャック、あんた人生に希望とか持ってる?」
ロッキーチャック君は、こう云い切ったそうだ。

「いや、希望しか持ってない

「現代の若者の80%以上が『人生に希望が持てない』と回答」。
してみると、君が残り20%以下の若者か。


※「すねこすり」・・・岡山県の妖怪。雨の夜道等に現れ、人の足に纏わり付いて歩行困難にさせる。子犬が擦り寄る様な感触だが、姿は見えないという。脛を擦る事から「すねこすり(脛擦り)」と呼ぶ。
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食育の破壊神

私が初めてカーリー先生(仮名)を見たのは、娘・ぴーぽこが入学前、二年前のオープン・スクールの時であった。
推定年齢・10万70歳は超えているであろう、恰幅の良い老婆である。
その老婆が、働く子供達を叱咤激励していた。いや、「叱咤激励」と書くと聞こえが良い。どちらかと云うと、「女版・毒蝮三太夫」とも云うべき口汚さで野次を飛ばしているのだ。

「ホラ、そこ、何やってんだい!シャンとするんだよシャンと!この馬鹿野郎!!」

といった具合に。
私は度肝を抜かれた。シュタイナー教育の現場には似つかわしくない。
妻・みぽちなどは「あの婆さん、何処で拾ってきたン!?」等と云っていたものだ。

入学して聞いたところによると、このカーリー先生、現在の学童体制が整う以前、この学校の学童を支えて下さっていたという。今でも時々学童のサポートに入って下さっているそうだ。
驚いた事に、意外な程親達からの信頼が厚い。
いささか口汚くはあるが、それ以上に子供達を見守る眼力、洞察力は確かなものであり、それは子供達への慈愛に裏付けされたものらしい。
現に子供達もよく懐いている。ある高学年の男の子等は、カーリー先生と軽く云い合いをした時に、露骨に不愉快な表情を浮かべていた。いくら子供とはいえ、赤の他人に対して出せる表情ではない。恐らく家族にしか見せない表情を、心許せるカーリー先生に対しては見せているのではないだろうか。

このカーリー先生、事ある毎に子供達におやつを差し入れして下さる。
さて、シュタイナーは百年前から、今で云う「食育」に通じる事も述べている。
食材をただの物質として扱うのではなく、それが形成される過程にまで目を向け、そのエネルギーも込みで意味のあるものと説いているのだ。
例えば大麦等の穀物は太陽のエネルギーを浴びて形成される。それらを食べる事で、我々の中にも太陽のエネルギーを取り入れる事が出来る、というのだ。

また、我々の頭部に当たるのは、植物においては根である。だから頭部の形成力が弱い人は、積極的に根菜を摂る事で補える。
この辺り、シュタイナーは色々と面白い考察を行っているので、またいずれ詳しく紹介したい。

「エネルギー」と云うと分かりにくいかも知れないが、例えばこうだ。
日本では古くから浄化の為に、「盛り塩」というのを行う。これは浄化のパワーがある「海」の塩を置く事で、その周囲を浄化する。
ところが、これが科学的に精製された塩では浄化の役には立たない。それはただの塩化ナトリウムという物質にすぎず、せいぜいなめくじが避けて通るだけの事だ。

この様にシュタイナーは、食材にもそれぞれのエネルギーがあると述べているので、シュタイナー教育を目指す人は極力ジャンクフードを避け、自然食を求める傾向が強い。

さて、以前の学習発表会での事。
進行役のキャベツ先生(仮名)が、来賓席のカーリー先生の紹介を行う。ざっと略歴を紹介した後、
「カーリー先生は子供達の食育を大事にして下さっていて、今日も子供達に沢山のおいなりさんを差し入れて下さいました」

会場に拍手が起こった次の刹那、カーリー先生、すかさず大声で、

「それと、コーラの飴もね!」

・・・我が耳を疑う。「食育」と云ってる傍から「コーラの飴」って。食育とはおよそ対極のジャンク・フードである。
「コーラの飴」、「甲羅の飴」、つまり「べっ甲飴」か?等と勝手に解釈しようとする私。そこに再度、

コーラの飴、コーラの飴

と、云い切る。
キャベツ先生も自ら「食育」と紹介した手前か、「コーラの飴」はスルーの方向で。
躍起となって

「それとコーラの飴だよ、コーラの飴!」

と連発するカーリー先生。
「食育」「ジャンク」もさる事ながら、「おいなりさんコーラの飴」という取り合わせも如何なものか。まさに「清濁併せ呑む」の精神。

数日後、その日は一寸したイベントの日。
校庭で夏の日差しを浴びて力仕事にいそしむ父達を尻目に、私は室内で母達と共に食べ物の仕込みを行っていた。
そこに、カーリー先生登場、
「皆で食べな!」
と、テーブルに無造作にのキャンディを広げる。
「いただきま~す!」と青色2号の塊を頬張る私に向き直ったカーリー先生、
「あんた!あたしゃ前からあんたに聞いてみたかったんだよ!」
改めて見ると、化粧が厚い。シャドウのキリリと入った目で私を見据え、

「あんた、男か女か、どっちだい!?」

私が生物学上はオスに分類される事を告げると、

「あぁ、ぶら下がってるほうかい!!」

って、何だ、その分類法!ぶら下がってるって、何がだ!?・・・おいなりさんか。
更にこの破壊の女神は、

「あたしゃ酔っ払うとち○こま○ことかそんな話ばっかだよ!」

て、聞いてねーよ、そんな事!真ッ昼間、神聖な学び舎で、何を大いばりで口走っとるか!

・・・ともかく、この破壊神・カーリー先生とは、仲良くなれそうな予感。

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