2008年06月

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  2. 2008/06/30 田んぼは避暑地じゃございません
  3. 2008/06/25 教壇にて亀を語る
  4. 2008/06/20 掛け算は芸術的に
  5. 2008/06/16 妖精スプリンクラー
  6. 2008/06/11 ジャンク食って食語り

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田んぼは避暑地じゃございません

6月に入ったある日、二年生の子供達の中から、誰歌うともなく田植え歌が歌われだした。それに唱和する子供達。そして担任のウール先生(仮名)に、
「今年の田植えはまだですか~?」
と質問してきたそうだ。
それまでクラスで田植えの話が出た訳ではないのに。
子供達の中に、一年のリズムが刻み込まれているのだな、と、ウール先生は驚いたそうだ。

子供達が学校の田植え祭に参加したのが一年前、一年生の頃の事である。
我々親も、希望者は子供達の引率も兼ねて、参加可能。
が、「当日は汚れてもいい服装で」とのお達し。

同級生母のトッケイさん(仮名)と私は、頭を抱えた。

ト・「ねぇ、どんな服で行く?」
私・「汚れてもいいような服って・・・そんな野暮ったい格好で・・・」
ト・私・「電車に乗りたくないよねぇ~!」

いっそかすりの着物に緋色のたすき、すげ笠を被った早乙女スタイルで電車に乗る方がずっといい。

さて、「シュタイナー」という鐘を、「農業」という撞木で撞くと、

「バイオダイナミック農法~~~・・・」

と響く。具体的な方法については敢えて割愛するが、太陽や月の運行によって種蒔きや収穫等の日程が決められていて風水的でもあり、また土に散布する調合剤の作り方が魔術的で、興味深い。
無論、これらはシュタイナーの鋭い化学的洞察によって考案されたのだが、鋭すぎて「化学」の概念を突き破り、魔法のように見えるから面白い。「こんなのは擬似化学だ!」と断じられても仕方がない。

が、実際にバイオダイナミック農法で作られた作物を食べた方の感想は、やはり一般の野菜よりも断然美味しい、との事。

また、作物の生命力を引き出す為、悪天候が続いて周囲の作物が全部駄目になった時も、バイオダイナミックの作物だけは無傷だった、という話も聞く。

そして、農薬を一切使用しないにも関わらず、虫が付かないそうだ。
戦地の負傷兵の傷口に蛆虫が湧いた、という話を聞くが、蛆虫は化膿、壊死した部分だけを食べ、健康な細胞は食べない。
同様に、虫が食べるのは植物の弱っている所であり、健康な植物は虫に食害されない、という。

ヨーロッパでは、ドイツやイタリアを中心に数多くのバイオダイナミック農場があり、オーガニック農法として定着している。

と、ここまで述べておいて何だが、我が学校で取り入れているのはバイオダイナミック農法ではなく、「自然農」である。

これは文字通り自然に作物を育てるやり方で、肥料や農薬を使わないどころか、雑草の除去すらしない。雑草と共に、育てる。
バイオダイナミック農法と共通しているのは、化学的な肥料や農薬を一切用いず、作物の生命力を遺憾なく引き出す、という点であり、これは今後の農業で最も注目すべき最重要事項であろう。

我が学校では、青梅に田畑を借り、この自然農を実践している。
昨年、我が娘・ぴーぽこ(仮名)ら、当時一年生だった皆も田植えの日にこの地へ赴き、田植え祭や田植えを見学した。

山の麓の自然農の田んぼは、水田ではなく、湿田。
上級生の生徒や教師、親達が、畦に立って田植え歌を歌う。
早乙女に扮した七年生の女子が、田植え踊りを踊る。
それを興味深く見詰める、ぴーぽこら一年生。

祭は田植え歌だけではなく、宮澤賢治の「青い槍の葉」も歌う。

「♪ゆれる~ ゆれる~ やなぎはゆれる~」

という歌詞に合わせて、しなやかに踊る子供達。
中でも学校代表者にして七年生(当時)担任のT.T.T.先生(仮名)は、どの生徒にも負けず、楽しそうな表情で踊っている。その腰つきは、まさに揺れる柳の様なしなやかさである。

参加した親達は作業着としてラフな服装。特に自然農班の母達の中には、麦藁帽子で首にタオルをかけ、鎌を片手にゴム長靴という、板に付いた野良着の方々も。

私も、断腸の思いで、「汚れてもいい」部屋着用のTシャツにジーンズという、その辺にタバコを買いに行く時のスタイルで、電車に乗ってやって来た。
長靴が、ピンクのレディース長靴なのが、「乙女」としてのせめてもの抵抗である。(期せずして、この長靴はウール先生とおそろいであった)
いや、普段の私も「Tシャツにジーンズ」には違いないが、私の中では「よそ行き用」と「部屋着用」に分かれているのだ。

そんな中、明らかに場違いな者が、約一名。

件のトッケイさんである。

いつもの様に、綺麗にお化粧。「汚れるのはどうせ下だけだから」と、上は小洒落たノースリーブに、下はテニスの時に穿いているというスポーティーなパンツ。
あまつさえ、ただ一人日傘まで差して、畦道に立っている。

私が部屋着で来たのに、彼女はこのスタイルである。きぃっ、悔しいったら。だが、トッケイさんよ、

ここは青梅の田んぼであって、

軽井沢のテニスコートではない。


自然農班のシェーさん(仮名)、後にトッケイさんに語る。

「あそこまで場違いだと、却って清々しいよね!今後もあのスタンスを貫いてね!!」

田植えは、湿田に鎌で穴を掘り、稲を植える。

彼女はミミズに怯えつつ、そのスタイルで田植えを敢行した。
挙句、帰路の途中でロングスカートに履きかえる、という離れ業までしてのけた。

二年生になったぴーぽこらは、今年も田んぼに行った。見学だけだった去年と違い、今年は一人一本ずつ稲を植えて来たそうだ。

今年は都合により、私もトッケイさんも田植えには参加しなかったが、彼女が避暑地にでも行くようなスタイルで田んぼに行った事は、未だに語り草になっている。

毎年この季節になる度に、私は云い続けようと思う。恐らく来年か再来年あたりには、
「またその話?・・・いい加減、ウザいんですけど・・・」
ぐらいの事は云われるだろうが、それでも私は云い続ける、子供達が6月になると田植え歌を歌いだす様に。
それが、私のリズム。


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教壇にて亀を語る

或る朝、いつもの様に水撒き妖精としての仕事を果たし、畑の手入れをしていた七年生のポンパドールさんとボナパルトくん(いずれも仮名)に声をかける。

「ミミズはいませんか~?」

「あ、いますよ」

即答である。スコップで土を掘り起こすと、すぐにミミズが登場。流石は自然農、肥沃な土だ。

自分でミミズを所望しておきながら、私はそれを受け取りもせず、

「それ、亀にあげて貰えますか?」

とんだ意気地無しである。
いい歳をしてミミズを恐れる困った大人の頼みを快く引き受け、二人は四年生の教室の前で飼われているクサガメに、ミミズを与えた。クサガメは既に環境に慣れたのか、私や子供達が見守る中、美味しそうにミミズを食べた。

この亀が来たのは数日前。その日の朝もウンディーネ気取りで水撒きをしていたところ、四年生の教室の前に子供達が人垣を作っている。
何事かと思って見ると、コンテナの中に甲長20cmはあろうかというクサガメが泳いでいる。
四年生の鋳物師くん(仮名)が、登校途中捕らえてきたそうだ。

二年担任のウール先生(仮名)が「その亀、どうしたの?」と訊ねたところ、鋳物師くん答えて曰く、

「落ちてました」

って、誰がこんな大きな亀を落とすというのか。大きな亀をポケットやバッグに、ティッシュ感覚で携帯しているという話は、あまり聞かない。
おそらく川沿いの道を移動していた野生の亀だろう。

子供達に、これが「クサガメ」という亀である事やその名の由来、年輪からして10歳以上だろう、という話をしていると、四年生担任のジオード先生(仮名)、「詳しいですねぇ・・・」
幼少の砌から生き物が好きだった私、これまで色々な生き物を飼ってきた。無論、クサガメの飼育経験もある。

そういう次第で、ジオード先生の申し出により、急遽その直後の授業、「リズムの時間」を利用して、四年生の子供達に亀の飼い方についてレクチャーすることになった。それを踏まえて、この亀を飼育するかどうか決議するのだろう。子供達と車座に座り、亀語りを始めた。

「これは、爬虫類カメ目ヌマガメ科に属する、『クサガメ』という亀である」

こうした説明は、小学部の子供達には無用だ。こんな知識は高等部になってから、生物学の授業で学べばよい。
こういった学術的知識は、小学部の子供達にとっては冷たいものであり、生きた学びにはならない。
この時期は、実際に動物や植物に触れたり育てたり、観察や、大人から学術的ではない、興味深い生態等の話を聞く、所謂「直接体験」が重要である。
こうした体験を通して動植物に向けられた興味や愛、「不思議だ」と思う感覚が、高等部で学ぶ学術的、または解剖学的な生物学を、血が通った知識にしてゆくのだ。

私は無論、シュタイナー教師でもなければ、話す内容について何の下準備も無い。無いまま語りはじめたので、子供達が興味を掻き立てられる様な話は出来なかったが、それでも子供達は熱心に私の亀語りに耳を傾ける。

話は主に、飼い方についての心得や注意点を、私の体験を交えて語るものとなった。
餌はミミズや塩抜きしたニボシ。他にも色々あるが、子供達が自ら調べたり、実際に食べるかどうか与えてみて「食べた!」「食べなかった・・・」と一喜一憂する体験をして欲しいので、敢えて多くは教えない。ミミズとニボシ以外は、
「どんなものを食べるか、色々と試してみて下さい」
と語るに留めた。

他にも水の深さや、下に砂利を敷くと落ち着く事、水換えについて等のノウハウを教えたが、特に日光浴については、亀飼育の重要な事の一つだ。大き目の石や板等、亀が全身登って日の光に当たれる陸場と、暑くなりすぎない為の日陰を設け、亀が自由に体温調節出来るようにするのだ。

日光浴の重要性については、こうだ。

「亀やトカゲ等の爬虫類は変温動物である為、日光に当たる事によって体温を上昇させ、速やかな活動を促す。また、昼行性爬虫類の多くは、日光に含まれる紫外線を取り入れる事で、カルシウムを助けるビタミンD3を体内で形成する。これが不十分だと、骨代謝障害に陥る」

が、無論こんな説明は四年生には不要。とはいえ、

「亀さんは、お日様が微笑んでいると、嬉しくて元気になるのです。だから、亀さんはお日様の微笑を体中に浴びたくて、日向ぼっこをするのです」

という説明は、メルヘンの力が作用している一、二年生ぐらいならともかく、四年生にこう話しても納得しないのではないだろうか。結局、

「亀さんは太陽の光から生きる為の力を貰っているのです」

と説明する事で、日光浴の重要性を説いた。

一通り話した後で質問を受け付けたが、初めは無言で聞いていた子供達も次第に次々と質問を投げ掛ける。
中には私が色々な生き物を飼っている噂を伝え聞いている子もいて、「どんな生き物を飼っているんですか?」との質問が出た。

以前はフェレットやフルーツコウモリも飼っていたが、今飼っているのはイグアナ、イモリ、ドジョウ、カエル(ツチガエル、トウキョウダルマガエル)、アカミミガメ(ミドリガメ)、蛇(コーンスネーク)、と答えたのをきっかけに、ジオード先生が子供達一人一人順番に、それぞれどんな生き物を家で飼っているのかを発表させた。

何も飼っていない子もいるが、カブトムシ、クワガタムシからドジョウや亀、またウサギ等、それぞれのペットを順に披露してゆく。

最後にジオード先生がゆっくりと立ち上がり、穏やかな口調でのたまわく、

「先生の家で飼っているのは・・・

ゴキブリ・・・ナメクジ・・・ダンゴムシ・・・


・・・って、「巨人、大鵬、卵焼き」感覚で羅列しているが、それは「飼っている」んじゃなくて、

単にお宅に出没する生き物でしょう!?

ジオード先生が冗談や駄洒落が好きだ、という噂を忘れていた。突然の冗談に虚を突かれ、ツッコミも入れられず、子供達と苦笑するしかなかった。

・・・よもや彼は、それが云いたくて、子供達に一人ずつ飼っている生き物の発表をさせたのではあるまいか。
だとしたら、随分持って回った、長期展望の前フリである。




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掛け算は芸術的に

二年生になった娘・ぴーぽこ(仮名)、「数のエポック授業」で、本格的に掛け算が開始された。
家でも歩きながら、または風呂の中などで、「2×1が2、2×2が4・・・」と、暗算に余念が無い。然も、嬉々として取り組んでいる。

何がそんなに楽しいのか。私が子供の頃は掛け算九九をひたすらに暗記させられたもので、機械的な暗記に興味が持てなかった、と云うか、むしろ苦痛ですらあった。
そんな私からすると、この憎むべき掛け算九九を、我が娘が楽しそうに覚えている姿が不思議でならない。

それは無論、掛け算の授業が楽しいからに他ならない。
シュタイナー教育における掛け算の導入は、勿論ただの暗記とは違ったやり方で行われる。

一つは、リズム。これについてはまた改めて記事にする。

もう一つは、芸術的とも云えるアプローチである。
まずはこちらを御覧頂きたい。

かけざん 001
ぴーぽこのエポックノートより

シュタイナー教育ではお馴染みの、掛け算の円である。時間がある方は、是非筆記用具を御用意して、実際に描いて頂きたい。

まず、円を描き、それを10等分し、0~9の目盛りを付ける。
そして、0を起点に、2、4、6・・・と、掛け算の2の段を辿る。12、14、等、2桁の数については1の位を取る。そうすると、上図の様な5角形の図形が出来る。

同じ様に、また円を描き、今度は3、6、9、12(2)、15(5)・・・と、3の段を辿る。
そうやって、4の段、5の段・・・と、掛け算九九の格段を描くと、それぞれ美しい図形が出来上がる。
尤も5の段は、0と5を行ったり来たりするだけなので、丸の真ん中に縦線が入っただけ、という、天気記号の「晴れ」のマークの様な図形になるが、例えば4の段などはこの様な図形になる。

かけざん 002

これは先日学校で行われた、親の為のシュタイナー教育体験授業で私が描いたものだ。4の段は、この様に五芒星が現われる。

これら自体には、意味は無い。が、子供達は円の中に現出する図形に、単純に驚きや感動を覚える。
そして、それら図形の中に、様々な法則を発見する。
以下、それについて述べるが、実際にこれをやってみようと思っている方は、色文字部分を読み飛ばして頂きたい。

まず、九九の中には同じ図形になる組み合わせがある。

1、9の段が10角形。 2、8の段が5角形。 3、7の段が10芒星。 4、6の段が5芒星である。
が、それぞれ進む方向が違う。
分かり易い例として、1の段は勿論「1、2、3、4・・・8、9」と続く。
が、9の倍数を辿ると、「9、18(8)、27(7)、36(6)・・・」と、1の段と同じ図形を逆回転で辿るのだ。
これは、上記の各組み合わせ全てに云える。
つまり、丸に縦線の「5の段」を折り返しに、鏡写しの様に展開されてゆくのだ。

そして、それら組み合わせ(1・9、 2・8、 3・7、 4・6)を足すと、いずれも10になる。

また、これは私がやってみて気付いたのだが、奇数の組み合わせ、1・9が10角形、3・7が10芒星と、偶数的な図形になり、また逆に偶数は5角形等、奇数的な図形が描き出されるのも興味深い。


子供達はクレヨンでこれらの図形を描きながら、こうした事を発見してゆく。そして、数の世界の不思議さ、面白さ、法則を発見する喜び等を体験しつつ、「算数」を身に付けてゆく。

この倍数の図形を御存知なかった方や、知っているけど実際に描いた事がない方は、この機会に実際に描いてみる事をお勧めする。シャーペンやボールペンでも良いが、可能ならクレヨンか色鉛筆で、フリーハンドで描いてみると良いだろう。
お子さんが掛け算が苦手なら、一緒にやってみるのも楽しいだろう。(お子さんがまだ掛け算を習っていない場合や、お子さんがシュタイナー学校の二年生以下の場合は、お子さんと一緒にはやらない方が良いでしょう)

倍数と云えば、高校時代、倍数の見分け方というものを聞いた。
2桁以上の数を、1桁になるまで足し算する。つまり、81なら、

81→8+1=「

という具合に。

927なら 9+2+7=「18」→1+8=「」と、1桁にしてゆく。こうして1桁になった数が「」なら、それらは全て「9の倍数」なのだ。
同じ方法で、1桁になった数が「3・6・9」のいずれかなら、それは「3の倍数」である。

これは面白い、他の数でもこの様な見分け方はないか、と、色々試してみたところ、「見分け方」ではないが、一寸した法則性を発見した。それは「8の倍数」についてである。

8・16・24・32・40・48・56・64・72・80・・・

これを上記と同じやり方で1桁にしてゆくと、(16→1+6=『』、 64→6+4=10→1+0=『』等)

8・7・6・5・4・3・2・1・9・8・7・6・5・・・

と並んでゆくではないか!

「エウレーカ!我、発見せり!!」アルキメデス気取りで、早速翌日、クラスメートに披露した。
が、彼等のリアクションは、便所紙の様に薄い。曰く、

「・・・で、それが何の役に立つと?」

「そげん事しちょる間に、公式の一つでも暗記せぇば?」


私の世代は受験戦争全盛期。彼らをそんな世代の効率重視の申し子、と斬って捨てるのは簡単だが、今思えば、当時変わり者だった私を適当にあしらっていただけかも知れない。

・・・いや、「変わり者」なのは今でもそうか。


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妖精スプリンクラー

普通の学校では教師や用務員さんといった方々が行う事務や雑務等の仕事を、娘・ぴーぽこ(仮名)が通うシュタイナー学校では、親が行う。
事務は無論、配布物の印刷や分類から植木の水遣り、洗濯まで、それぞれが分担してボランティアで行っているのだ。

私もぴーぽこを送った後、時間がある時は男子トイレの清掃等を行っていたが、今年度からトイレ掃除は高等部の子供達の仕事になった。
さて、今後は何を手伝おうか。

そんな私が目を付けたのが、三年生母のカン・ミヒさん(仮名)である。
彼女は、常に何かを撒いている。

まず、生ゴミを撒く。
と云っても、その辺に無差別に撒くわけではない、それでは単に厄介な人である。
生ゴミを撒くのは、校舎の隅に設置された、「コンポスト」という生ゴミを堆肥化するバケツのような入れ物の中だ。
学童のおやつや講師への昼食等を作る過程で出た生ゴミを、毎朝コンポストに撒く。そして一緒に米ヌカを入れてかき混ぜると、いい堆肥になる。
この作業を手伝おうかと思っていたが、コンポスト周辺には私の天敵であるところのなめくじが出没するとあって、断念。

更に、彼女は校庭に、コーヒーを撒く。いや、液体ではない。親や教師が学校で飲むコーヒー、そのドリップしたあとの残りカスだ。
これが、良い土になる。
以前は砂利が敷かれただけの校舎裏の駐輪場に、彼女がコーヒーを撒きだして数ヶ月、次第に雑草が生え出し、今や青々と茂っているのだ。ある意味、花咲か爺・長期展望版である。

元は工場の倉庫だった学校の敷地、校庭は砂埃立つ痩せた砂と砂利。
カン・ミヒさんと「ここにもコーヒーを撒いて、校庭が良い土に覆われたら、子供達ももっと遊び易いだろうね」と話し合った。
彼女は早速教師に働きかけ、「校庭にもコーヒーを撒いて良い」という教師会の決定を頂き、今では毎朝校庭の真ん中にコーヒーを撒いている。気長に何年も続けていれば、いずれ柔らかな土に覆われた校庭に変貌してゆくだろう。

そして、カン・ミヒさんは、水を撒く。
先に書いた様に、校庭は砂埃が立ち易い。
朝、掃除を終えた子供達は、エポック授業が始まるまでの約15分、外で鬼ごっこや一輪車、独楽回しや、冬場は縄跳び等で遊ぶ。当然、濛々と砂塵が舞い立つ。
少しでも子供達が快適に遊べるように、と、砂埃を押さえるべくじょうろで水を撒いているのだ。

暑い日は勿論水を撒く。
風が強い日も水を撒く。
冬は乾燥するので、水を撒く。
この人は雨が振っても水を撒くんじゃなかろうか、という勢いで、水を撒く。

撒いた端から干上がってゆくので、人手は多いに越した事はない。
彼女の姿に触発された私は、これを手伝おう、と決めた。

さて、シュタイナーは子供の模倣の力を重視している。七歳までは勿論、それ以降もおおよそ三年生ぐらいまで、模倣の力は作用している。
然もそれは、表面的な模倣に止まらず、親の内面まで無意識に模倣しているのだ。

どうせ作業を手伝うなら、内心嫌々行ったり、面倒がってやっつけ仕事をするより、大人自信が喜びをもって楽しく事を行う方が、子供に良い影響を及ぼすだろう。

そう思って子供達が朝の掃除を行っている間、軽やかに水を撒く事にした。

水撒きをしていて気付いたが、回転式のスプリンクラーの様に、ぐるぐる回ると、より広範囲にまんべんなく水が行き渡る。
気分は既にフィギュアスケートの村主 章枝である。両手にじょうろを持って、村主気取りで回転する。回りつつ、軽やかに校庭を駆ける。
傍目には珍妙な行動だが、やってみると楽しい。「独りで楽しい」と書いて「独楽(こま)」、まさに独楽の様に回りながら水を撒く私の姿に、何人かの親は「・・・楽しそうねぇ」えぇ、えぇ、楽しいですとも。

上級生母の紅葉さん(仮名)などは、そんな私を評して曰く、

水撒き妖精みたい」

あら、貴女、私の正体を御存知!?
そう、私は水の妖精・ウンディーネ。おまえは天使の業を考える。しかし、それを知らない。私は、水の成長力を動かす。その成長力は、私の生命素材を作る。

まぁ、自称妖精の戯言は置いといて、こんな私の姿を中・高等部の子供達がどう思っているかは知らない。(またおかしな大人がなんかやってらぁ)ぐらいに思っているだろうが、ノン・シャラン。

低学年の子供達の中には興味深々に、珍獣を見るように私を見る子も。実際に「なんで回ってるの?」と聞かれる事もしばしば。
そんな時、「こうすると水が遠くまで飛ぶんだよ」と、普通にと云うか、凡庸に答えたものだが、いっそ「虹を作ってるんだよ」ぐらいの事を云って、実際にじょうろの口から噴霧される水を太陽に反射させ、虹を作って見せるのも楽しかろう。

ぴーぽこのクラス、二年生の男の子・マーライオンくん(仮名)などは早速私のやり方を模倣していた。子供達も朝の清掃時、自分達が育てている植物に水を与えるのだが、マーライオンくん、じょうろ片手にぐるぐる回っている。砲丸でも投げるつもりか、という勢いで回転しつつ、叫んでいる。

「目~が~ま~わ~る~~~~ッ!!」

・・・止まりなさい。



※ルドルフ・シュタイナー著「天使たち 妖精たち」より抜粋。


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ジャンク食って食語り

仕事の締め切り間近の日曜日、妻・みぽちはパート。家には私と娘・ぴーぽこの二人。
通常、こういう時は当然私が昼食を作るのだが、この日は追い込みの時とあって、仕事に必要なコピーをとりに行ったついでに某ファーストフードのクーポンでハンバーガーのセットを買って来る。

ぴーぽこは狂喜乱舞、バーガーごときでここまで盛り上がるとは、安っぽいことおびただしい。
ジャンクなフードもたまには良いか、と思いつつの選択ではあったが、実際に食卓でテイクアウトのバーガーセットを広げてみると、改めてこれが最悪の部類に属する食事である事を感じた。

フライドポテトと、安いハンバーガー。

まずはポテト。
シュタイナーは、ジャガイモについて、極めて酷評を下している。

植物の根は、人間の頭部に当たる。大地のミネラルを吸収した根菜は、人間の頭部に働きかける。
が、ジャガイモは一見根菜のようでありながら、実は茎である。つまり根になりきれていない茎、という事で、頭部に何ら働きかける事が無い上、根菜的な茎は人間にとっては消化しにくいと云う。

また、ジャガイモに大量に含まれるデンプン質を処理する為に中脳が過度に働くので、思考力が弱まるそうだ。
無論、ジャガイモを食べるや否や、突然うつけ者になって、「♪昨日と~ちゃんと寝ッたとッきに 変なとッころ~にイモがある と~ちゃんこのイモなんのイモ?」などと猥歌を歌いだす訳ではないが、熱心な人智学者の中にはジャガイモを食べない人も多いそうだ。

最近までドイツで教鞭を執っていたオイリュトミー教師の風姿花伝先生(仮名)先生も、ジャガイモを食べないとの噂。やはり人智学的立場から食べないのかと思い、直接伺ってみたところ、
「いえ、私、もともとジャガイモが嫌いなんです」
・・・単に好みの問題だった模様。

もっともシュタイナーは、ジャガイモ食をドグマ的に禁止してはいないし、一説では今の品種改良されたジャガイモは、シュタイナーの頃の原始的ジャガイモほど有害ではないとも云う。
いずれにせよ、私自身はジャガイモが大好物なので、控えめに食べる程度に留めようと思いつつ、ジャンクなフライドポテト・Mサイズを完食せずにはいられない。

さて、ポテトはまだ良いとして、問題は「安い」ハンバーガーである。

牛牧場や、その飼料となる大豆畑の土地確保の為、熱帯雨林が伐採されている、という事実。つまり大量生産のハンバーガーが、環境破壊に一役買っている訳だ。

森林を伐採して、広大な牧草地を作る、その時点で森林の木々や虫、動物、精霊といったものが行き場を失い、生態系が狂う。
また、牛のゲップやフンに大量に含まれるメタンガスが地球温暖化の一因であるのも有名だ。そして、そのメタンを吸収する森林土壌がそこから消滅しているという悪循環。

無論、熱帯雨林伐採理由は色々あり、過剰な焼き畑農業の為であったり(昔は自然の回復と調和が取れていたが、最近は明らかに自然の回復速度を超えた規模で行われているそうだ)、また最近はバイオ燃料の原料(アブラヤシ等)植樹の為、森林を伐採するという、本末転倒な事も行われている。

紙のリサイクルも大事だろうが、こと熱帯雨林にのみ限って云うと、伐採された木々のうち、パルプの原料になるのは全体のごく僅かだそうだ。確かに紙のリサイクルによって、オーストラリアの原生林等は保護出来るだろうが、漠然と熱帯雨林全体が保護出来ると思い込むのは間違いであろう。
それより大量生産バーガーを消費しない事の方が重要ではないか。

かつて「某バーガーチェーンの肉は、食用ミミズ」という都市伝説があったが、養殖食用ミミズの方がまだしも環境には良い。

私はハンバーガー全体を否定している訳ではない。環境を破壊してまで大量生産と大量消費を繰り返す必要は無いのではないか、と思うだけである。

ぴーぽこが通うシュタイナー学校の、上級生母・紅葉さん(仮名)は、自然育児で育った為、幼い頃からジャンクフードを食べさせて貰えなかったそうだ。
その反動で、長じてからジャンクバーガー等を食べまくった時期もあったそうだが、今はやはり幼い頃の味覚に戻り、ジャンクフードを食べさせなかった母に感謝していると云う。

私もぴーぽこにジャンクバーガーを食らわせている場合ではない。今後ぴーぽこがハンバーガーを食べたいなどと云い出したら、パンと挽肉を買って来て、せめて自家製バーガーでも作ってやる事にしよう。

さて、上記の「大量生産バーガーが環境を破壊する」という、風が吹いたら桶屋が儲かる式の理論をぴーぽこに理解させしむるのは時期尚早であろう。
シュタイナー学校では、物事の因果関係が理解出来るようになる七、八年生頃に、産業革命について取り組む。大量生産バーガーと環境の因果関係も、この頃になってから教えようという話を妻・みぽちにしたところ、彼女は果敢にも七歳児にこれを教えようと試み出した。

ジャンクバーガーが美味しいと云い張るぴーぽこに対し、

妻:「それは不自然な調味料を使っているから・・・」

ぴ:ふしぜんって、な~に?」

妻:「・・・自然じゃないってこと!」

私、内心:(そのまんま・・・)

妻:「自然じゃない味付けをしてるから、舌が麻痺して・・・」

ぴ:まひって、な~に?」

万事この調子である。話が森林伐採に及ぶと、

妻:「森が無くなると、そこに棲む動物達が・・・」

ぴ:「きつね!うさぎ!たぬき!」

私、内心:(得意げに羅列してどうする?第一それじゃ、熱帯雨林というより、日本の森だっての)

ぴ:「くま!」

私、内心:(まだ云うか・・・)

妻:「・・・そうだね、それからオランウータンとかね」

ぴ:「オランウータン?・・・・・・!!」

不意に動物園で見たオランウータンを思い出し、

淡々とオランウータンのモノマネを始めるぴーぽこ。

だから、七歳児に難しい説明は無理だって。


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