2010年04月

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  2. 2010/04/15 がっかり珍獣

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がっかり珍獣

春休みのある日、我々一家は、とある動物園に出掛けた。
その動物園の見所の一つは、野生下では絶滅したとされる珍獣・四不像(シフゾウ)である。

頭が猿、胴体は狸、足が虎で尻尾が蛇、と云えば、(ヌエ)であるが、これは幻獣や妖怪、自然霊の類で、所謂「動物」ではない。
ところが件の四不像は、こうした特徴を有している、というのだ。
つまり、4種類の動物の形姿を持ちながら、そのいずれとも異なる姿をしている。それが、「四不像」と呼ばれる所以なのだ。

こう聞くと、「一体どんな姿をしているのだろう?」と、いやが上にもこの珍獣に対する期待が高まる。
その姿とは、こうだ。

馬のような頭  ロバのような体と尻尾  

牛のような蹄  鹿のような角


…って、地味!ラインナップ、全て奇蹄目・偶蹄目だし!
いや、十分珍しいのだが、「四不像」などとものものしい名前を付けてハードル上げてるものだから、ヌエ的なものを期待してしまうではないか。それで実際に見ると、一風変わった鹿にしか見えないから、見た者はがっかりする。
がっかり珍獣である。

どれ位がっかりかというと、実は我々夫婦は、結婚前に一度一緒に見たのだが、それから10年以上経った今でも、当時のがっかりっぷりをありありと覚えている程なのだ。
然も妻・みほちに至っては、見た事自体忘れている。
いつまでも記憶に残るか、綺麗さっぱり忘却するか、両極端ながっかりっぷりなのだ。

さて、改めて上記のラインナップを見ると、馬・ロバ(奇蹄目)、牛・鹿(偶蹄目)で、いずれも有蹄の動物である。大雑把に分けると近い仲間(馬とロバに至っては、交配すら可能の近縁種)同士なので、四不像はその名や特徴の割には地味に見えるのだろう。
尤も全く多種の特徴を併せ持っていたら、それはもはや動物の域を離れて、件のヌエやグリフォン、スフィンクス、マンティコア等の幻獣になってしまう。
こうした各地の神話・伝説の合成獣や半人半獣の存在達について、シュタイナーは非常に興味深い洞察を行っているが、到底かいつまんでは説明出来ない。今回はそのごくごくさわり、有蹄動物についてシュタイナーはどのように視ているかの一端のみを紹介したい。

まずは、シュタイナーによる人間の三分割論をごく大雑把に述べたい。人間は、以下の様に考察出来る。

*頭部・・・静的:神経-感覚系:思考の要素

*胸部・・・律動的:律動-循環系:感情の要素

*腹部(手足含む)・・・動的:新陳代謝系:意思の要素

因みにシュタイナー教育のカリキュラムは、上記の観点から子供の成長段階に対応して組まれている。

そして、「動物」とは、これら人間の一部が特化して発展した形姿をしている、という。有蹄動物を見てみよう。

まず共通して特徴的なのは、蹄を持った強靭な四肢である。
捕食者からの逃走における敏捷性もさることながら、時として四肢は攻撃の武器にもなり得る。牛や馬に蹴られたらただでは済まないし、一見細長くて華奢に見えるキリンの脚でさえ、ライオンに致命傷を与えうる脚力を持っているのだ。
また、カモシカや山羊の仲間の中には、切り立った断崖を、あの不器用そうに見える蹄で、軽々と上り下りする種も多い。

他の特徴としては、やはりあの腹であろう。植物の繊維を消化吸収する為、長大な胃腸を有している。牛や山羊等は、胃が四っつある事も知られている。
複数の胃を持つ種は、のんびり休んでいるように見えても、口はもごもご動かしている。反芻しているのだ。
反芻しない種でも、大抵は絶え間なく草や葉を食んでいる。
頭部を更に三分割すると、鼻は胸部(呼吸つまり律動の要素)で、口は腹部(消化や動きの要素)であることが分かる。
常に口を動かすのも、腹部の要素だ。

こうした考察を通して、有蹄動物は云うまでもなく「腹部の存在」であると云える。
シュタイナーは、これらの動物の代表を「牛」と呼び、頭部の代表・「鷲」、胸部の代表・「ライオン」と並ぶ「三大聖獣」としている。

「鷲」、「ライオン」、そして「牛」が一面的に有しているものを、調和・融合した存在が、人間なのだという。

してみると例の四不像は、いかに4種の動物の形姿を有しているとはいえ、その存在の本質は、「ザ・腹部」と云えよう。

さて、広大な動物園で、我々は四不像のエリアから若干コースがずれてしまった。
戻って見に行こう、と主張する私に、妻・みほちが反論。

「ヤだよ。わざわざ戻ってまでがっかりしたくない」

彼女は、かつて私と一緒に四不像を見てがっかりしたことは綺麗さっぱり忘れているくせに、それが「がっかり珍獣」であることは把握している。

「それがいいんだよ!手間をかけて見に行くことで、より『がっかり感』が増すでしょ。さぁ、がっかりしに行こう!」

私がそう主張するも、なおもみほちは難色を示し、

「ヤだって!四不像は、

 世界三大がっかり珍獣

のひとつなんだよ!」


なんだそれ!シュタイナーの「三大聖獣」ならぬ、「三大がっかり珍獣」?
参考までに「世界四大珍獣」といえば、「ジャイアントパンダ、オカピ、ボンゴ、コビトカバ」であるが、がっかり珍獣の残り二つって何なんだ?

「もう一つは、マーライオン

…って、そりゃシンガポールのモニュメントだ!「世界三大がっかりスポット」と交じってる上、実在する「珍獣」ですらないし。

「あと一つは・・・何にしようかな・・・?」

…って、それは世界基準じゃなくてオマエ・セレクションだったのかい!?

結局、娘・ぴーぽこ(仮名)が見たいと云うので、わざわざ戻ってわざわざ見て、わざわざがっかりした。

が、最もがっかりしたのは、見たいと云ったぴーぽこその人であったろう。何故なら、上記の我々のやり取りを聞いていたぴーぽこは勘違いをし、

「・・・シフゾウって、いつもがっかりしてる象さんかと思った・・・」

・・・がっかり象!?それはそれで、珍獣だ。



参考文献:「宇宙的人間論」ルドルフ・シュタイナー著/高橋巌 訳 (春秋社)

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