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HOME>シュタイナー学校の日常

カッコウに憧れて

ある日、一年生の娘・ぴーぽこ(仮名)が、俄かにこんな事を云い出した。

「おとーさん。うち、八年生まではこの学校に行きたい」

いや、授業料さえ払い続けられれば、十二年生まで行かせるつもりだが。
聞けば、十二年生まで勿論行きたいが、最低でも八年生までは絶対に行きたい、という事らしい。
だが、何故「八年生」なのか。
実はこの数日前、八年生による演劇の発表会が行われたのだ。

「うちも八年生になったら、あれ(演劇)をやりたい」

と云うのだ。

八年生に限らず、シュタイナー学校では授業の一環として、よく演劇を行う。
シュタイナー教育と演劇についての詳細はまたの機会に改めるが、ともかく八年生の演劇は、特に重要性を持つ。
八年間に渡る小・中学部を卒業し、九~十二年生という高等部に進学する、その節目として、子供達の手で演劇を作るのだ。

さて、今年の八年生の演目は、

「アルパカが贈る三つのお話」

アルパカって。南米に生息する、偶蹄目らくだ科の毛だらけの草食獣が、どんな物語を贈るというのか。
聞けば「アルパカ」とは、宮澤賢治の徒名だとか。宮澤賢治が農学校教員時代、「アルパカに似ている」という理由で、生徒達が親しみを込めて賢治をそう呼んでいたいたらしい。特に、口元がアルパカ。そんなピンポイントな特徴で、付いた徒名が、アルパカ

この劇は、宮澤賢治の三つの作品、「猫の事務所」「ポランの広場」「セロ弾きのゴーシュ」により構成されている。

会場は、何年か前に「モンゴルの学び」で校庭の端に建てた、「ゲル」と呼ばれるモンゴルのテントの様な移動式住居。
さして広くもないゲル内に、生徒や教師、親や来賓の方々がぎっしりとひしめきあって座る。まるで桟敷、芝居小屋と云うよりは見世物小屋、
「親のォ~因果がァ、子に報いィ~・・・」
との口上で蛇女でも出てきそうな塩梅である。

さて、開演。物語は宮澤賢治と生徒達の授業風景から始まる。てっきりオムニバスで演じるのかと思ったが、「賢治が生徒達に、自作の童話を聞かせる」というコンセプトで、上記の三作品が展開されてゆく。見事な構成である。

演技もなかなかのもの。特に「猫の事務所」の「かま猫」がしくしくと泣き出すところは私のツボであり、思わず私もしくしく泣きそうになる。と云うか、一寸泣いた。
また、「ポランの広場」の粗筋を語る賢治役の子の一人芝居や金星音楽団・楽長の熱演ぶりも素晴らしい。男子ながらに母鼠を演じる編入間も無い生徒も、すっかり板に付いている。

この学校らしいのは、「セロ弾きのゴーシュ」で子供達が着ていたそろいの黒いベスト。これは子供達が手仕事の授業で、自ら製作したものなのだ。

芝居小屋は役者、観客とも、熱気に包まれる。いや、狭い中に芋を洗うように人が入っているのだから、実際暑い。早春というのに汗が滲む。
どれぐらい暑かったかというと、熱気のあまりヴァイオリンの調弦が狂い、若干演奏の音がずれた程だ。

だが、調弦の問題で、「演奏の実力が遺憾なく発揮」とまではいかなかったものの、劇中の音楽が全て子供達の生演奏なのだから凄い。
セロ(チェロ)も無論生演奏、ゴーシュ役の生徒の演奏も聴き応えがあった。特に猫とのやり取りの場面で、シューマンの「トロメライ(トロイメライ)」を弾きかけ、途中から曲が「インドの虎狩り」に変わる演出は見事。
また、合間合間にそれぞれヴァイオリンやフルートの独奏もあり、最後は作品中に登場するベートーヴェンの「第六交響曲(田園)」を、全員で演奏して幕が閉じる。

来年度から、彼らは高等部。シュタイナー教育では小・中学部の八年間を、一人の担任がずっと受け持つ。そして、その担任教師の手を離れ、高等部に進むのだ。
現・八年生は、この学校の第三期。草創期という事もあり、担任のサザエ先生(仮名)は途中からこの学年を受け持った。
だが、劇終了後のサザエ先生の挨拶の言葉やその表情から、八年間以上の思いを込めて子供達に接してきたのだろう、と感じた。

ぴーぽこはまだ一年生だが、こうして上の学年の姿を見て、憧れて、成長してゆくのだろう。

そんなぴーぽこが特に気に入ったのは、「セロ弾きのゴーシュ」の「くゎくこう鳥(カッコウ)」。カッコウ役の女生徒が、チェロに合わせて羽ばたきながら「カッコー、カッコー」と鳴き続ける場面である。可愛らしく、面白く、私も気に入った場面の一つである。

ぴーぽこは、「八年生になったら、カッコウをやりたい!」と云い出し、帰宅するや布を纏って羽ばたきながら、「カッコー、カッコー・・・」
やがて笛やウクレレ、鉄琴など、家中のあらゆる楽器を駆使して「カッコー」の音をとりだす。
仕舞いには、楽譜のつもりだろう、紙に五線譜のようなものを書き、音符の代わりに延々と

かっこ かっこ かっこ かっこかっこかっ

こかっこかっこかっこかっこ・・・


と記す。ゲシュタルト崩壊現象でも起こしそうである。

わざわざそれを見て、また「カッコー、カッコー、カッコー・・・」

カッコウの台詞「ぼくらならどんな意気地ないやつでも のどから血が出るまではさけぶんですよ」(『セロ弾きのゴーシュ』より)

まさに喉から血が出そうな勢いで、「カッコー、カッコー、カッコー・・・」

私も付き合わされ、羽ばたきながら「カッコー、カッコー、カッコー・・・」

ゴーシュの台詞「えいこんなばかなことしていたらおれは鳥になってしまうんじゃないか」(『セロ弾きのゴーシュ』より)

・・・ゴーシュの気持ちがよく分かった。


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コメント

劇いいよねー♪
こっちの8年生は「1776」っていうミュージカルで、イギリス統治下のアメリカが舞台のお話だったのー。
こっちもやっぱり自分達で衣装を作って、歌って踊ってたー。
実は劇は観にいけなかったんだけど、月例祭でダイジェスト版が観れたの。
すっごい面白かったー!
ちびは6年生のジャグリングがすっごく面白かったみいたで、「6年生になったら、僕もジャグリングやりたいなー」って言ってたよー。
今なら写真見られます
http://www.tokyokenji-steiner.jp/
このHPのトップで、演劇の写真が見られます。でも1週間以内に変わってしまうかもしれません。
ゲルの中、生演奏して演じる生徒たち。しかもずっと賢治について学んできた子たちという、大変贅沢な劇でしたね。
>あいぴょんぴょん
面白そうだね~、そっちも!本当に、同じ「日本のシュタイナー学校」でありながら、それぞれの学校、子供達の個性が出るもんだね。。きっと来年度の八年生、またその次の代・・・と、それぞれ違った劇が観られるんだろうな~。。
ちびくんがジャグリングやる日も楽しみだね~^^

>25さん
良い写真だね~^^期間限定だけど^^;
別の写真に変わっても、学校の様子が伝わると思うので皆様度々御覧になって頂きたいですね^^
本当は、生徒達一人一人について、もっと詳しく書きたかったんですよ~。キリが無いので割愛しましたが、本当に皆素晴らしかったですね~。。
拍手コメント
>フーパパさん
拍手コメント有難う御座いました~^^お礼コメント書いたのですが、多分この記事の拍手ページからしか読めないと思いますので、お手数ですが再度「拍手」バナーから入って御覧下さい^^;
電話したら三毛猫が!
いやー、よかったっす。劇。
実はミニョンをね、友人に預けていたんですよ、午前中は仕事だったし、午後は劇だから。ふと気になって劇の始まる前に家に電話したら「Kさん(友人)がいたときは寝ていたが、帰ったとたん起きた」という夫の話声の後ろでミニョンの声が。しまった、、、、、電話なんかするんじゃなかった。夫が仕事できなくなるので、知ってしまったら帰らねばならない。「なんで私は劇が観れないんだ!!こんなに楽しみにしていたのに!!!」とかなり怒りモードのやさぐれ気分のときに、ありがたや、Kさんに再会できて「じゃあ私がまた戻ってミニョンをみるわよ」といってくれた。そんな事情の観劇でした。もちろん、感激。
 で、こないだ、教室整備のことでたまたま8年生の三毛猫くんのお母さんに電話したら電話口に「はい~」とでたのが三毛猫君役の男の子!まさに三毛猫じゃんか!私;「お母さんをお願いできますか」三毛猫;「あ~、おまちください~」、、、、、三毛猫君としゃべっちゃった!わーーい!
三毛猫は
かまねこと同一人物であ~~る。
>ミニョンの母さん
劇観られて良かったですねぇ^^
観劇で感激って、タイトルに使おうかと思ったけどやめたのです^^
低学年だと普段8年生あたりと接する機会が少ないから、お話出来ると妙に嬉しいですよねぇ^^三毛猫くんとは劇終了後に少し話しただけだけど、機会があったらもっと会話してみたいなぁ。。
そういえば、どんど焼きの時、「荒木さん~」と話しかけてくれた女子がいて、結構嬉しかったのですが、今思うと彼女はカッコウさんだったかも。

三毛猫はかまねこと同一人物であると同時に、賢治先生の生徒・根子(ねこ)くんとも同一人物であ~~る。

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