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「アイヌの学び」と謎の出家

このブログも回を重ねるにあたり、ここらでどうしても押さえておきたい人物がいる。

学校の創設者であり、学校代表にして現・八年生担任でもある、T.T.T.先生(仮名)である。
優しさと厳しさを併せ持つ彼女だが、その発想や行動は、時として常人の理解を超える。

話はやや遡る。

学校を挙げて取り組んでいる事の一つに、「アイヌの学び」がある。
昨年の秋、アイヌ民族の末裔の方々をお招きして、アイヌについて全校生徒が学ぶ日が設けられた。

小春日和のその日、当時の一年生から十一年生(当時最高学年)までの子供達が、校庭に並ぶ。
そして、アイヌの民族衣装に身を包んだアイヌ末裔の方々に、色々な話を伺った。

アイヌの歴史や日常の暮らしぶり、お祭や儀式など、実演も交えて説明して下さるのだ。
また、低学年の子供達は、これまで取り組んできたアイヌ語の歌と踊りを披露する。それを、暖かい視線で見守る、アイヌの方々。
そして、今度はアイヌの皆さんによって、本格的なアイヌの歌と踊りが披露された。途中から教師達もアイヌの方々のご指導のもと、一緒に踊る一幕も。

更に、鮭を解体して「オハウ」(鮭のアラ、切り身や野菜がゴロゴロ入った汁料理)というアイヌ郷土料理を作り、皆で美味しく頂いた。
冷凍鮭の解凍が間に合わず、鮭の解体に手間取る、というハプニングもあったが、概ねこの様な流れで、「アイヌの学び」が一日かけて行われたのだ。

「一を聞いて十を知る」と云われるが、それには礎が必要である。
例えば、「人参・玉ネギ・ジャガイモ」を材料とした料理として、肉ジャガの作り方をマスターしたとする。これが、「礎」になる。
「人参・玉ネギ・ジャガイモ」を使って、今度はカレーやシチューを作ろう、となった時、そのレシピを一から十まで丁寧に辿る必要は無い。肉ジャガ作りのノウハウを発展させ、その他の材料や調味料、煮込み時間等を加減乗除すれば良い。
これが「応用」であるが、応用にはそれを裏付ける「礎」が必要なのだ。

余談だが、かつて東郷平八郎が英国で食したビーフシチューの味が忘れられず、帰国してから部下に命じて「ビーフシチュー」の味を再現させた。当時の事、当然、デミグラスソースの作り方が分かる訳も無く、砂糖やみりん、醤油など、日本で手に入る調味料を駆使して再現に努めた。
こうして出来たのが、「肉ジャガ」だと云う。

マメ知識は置いといて、この様に幾つかの民族・歴史・地理や文化について詳しく学ぶ事で、子供達の中に「礎」が出来る。
世界には数多くの民族や文化、歴史があり、その全てをこうした形で学ぶのは不可能である。が、他の民族の文化や歴史を授業の中で学ぶ際、礎がある事で、それらに対して生き生きとした想像力が発現され、飽くなき興味と探究心、また他民族への敬意や愛情をもって学ぶ事が出来るようになるのではないだろうか。

シュタイナーは、特に低学年において、「直接体験」を重視していたが、実際に目の前で実演されるアイヌの文化~歌や踊り、儀式や鮭の調理等~に、どの子も興味深々の眼差しを向けていた。
特に一年~四年生の小学部の子供達は、手仕事の時間に自分達が作ったアイヌの民族衣装を身に着けての参加だから、興味もひとしおだろう。
尤も私の娘・ぴーぽこ(仮名)ら一年生(当時)は、アイヌの文様を刺繍した「マタンプシ」と呼ばれる鉢巻を巻いただけだが、四年生にもなると、アイヌの民族衣装ほぼ一式に身を包んでいる。

アイヌの衣装を手作りし、アイヌ語で歌い踊り、またこうして直に話を聞いたり郷土料理を味わったりする。こうした体験は、きっと子供達の中に深く染み込み、「礎」となることだろう。

さて、この様に、手作りのアイヌ民族衣装を着た小学部の子供達や、本格的な民族衣装のアイヌの方々に混じって、一際異彩を放つ人物がいた。

「その者、白き衣をまといて」、である。頭に編笠を被り、手には鈴の付いた杖を突いている。

この出家姿の初老の女性こそ、云うまでもなく件のT.T.T.先生である。

まるでお遍路さんの様ないでたちだが、何だろう、きっとあれもアイヌに関わりのある装束だろうね、と、傍らの母達と話し合う。なにしろ今日は「アイヌの学び」なのだから。おそらくあれも、一見お遍路さんの様だが、我々が知らないだけで、何かアイヌゆかりの意味があるのだろう、という話になった。

だが、どうしても気になった私は、タイミングを見て直接T.T.T.先生に伺ってみる事にした。

私:「先生、今日の、その衣装は・・・?」
T:「あぁ、これですか!?」
T.T.T.先生、誇らしげに、こう云い放った。

「弘法大師です」

弘法大師、つまり空海。と云う事は・・・やっぱり遍路かい!?
が、遍路は無論、四国八十八箇所巡りである。今日はアイヌ~北海道の学びであって、「四国の学び」でも「高野山の学び」でもない。
それとも空海は、私が知らないだけで、北海道にも霊山を開闢していたのだろうか?

「あのぅ・・・弘法大師って、アイヌとも何か関係が・・・?」

「無いです」

無いのかい!?

「え?じゃぁ、何故白装束を・・・?」

T.T.T.先生、手に持った杖で地を突く。鈴が、凛、と、鳴る。

「気分です」

・・・「気分」って。
然もそれから一時間もしないうちに気分が治まったものと見え、気付くといつの間にか、普段の平服に戻っている。
多血質にも、程がある。

アイヌの方々自ら民族衣装で臨んで下さった「アイヌの学び」。そこに遍路姿で現れると、「何かある」と思うではないか。

・・・何も無い。ただ、弘法大師のコスプレである。

今後もT.T.T.先生から、目が離せそうにない。


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コメント

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これもなんか覚えている、、
覚えてる!これもなんか覚えているぞ!ていうか、目に浮かぶようだ!!そう、自信満々できっぱりと「関係ないですね」かなんかいわれてましたね。T先生初心者の皆さんの反応が面白かったです。なれてくると驚かないけど。
でも、アイヌの協会の方々が、我々の取り組みに本当の意味で笑顔を向けてくださるようになったのは、ここ1、2年です。「イベントは物見遊山で子供たちにも教えるが、実際のアイヌへの歴史の理解が間違っている」という経験をたくさんされたのでしょう。しかし弓の舞で子供たちは素直に「かっこいい~~~!!」と叫んでいて、理屈ではなく小さい頃からの体験が差別をなくす理解へとつながる、と感じましたね。そこには大人の姿勢も大事だとおもいます。
明日沙流川のダム反対の署名用紙をもっていきますので、皆さんご協力を!
「アイヌの学び」いいですね
T先生のようなキャラクターほほえましい
という私も多血質です
「琉球の学び」も取り入れてほしいなぁ
エポックだったんだって
ブログを見た事務局のMさん曰く、当日の朝からエポック授業で弘法大師だったんだって!
でもエポックでそのコスプレするのもすごい。

アイヌの学びは毎年毎年子どもたちの中に積まれていくね。
沖縄も機会があればいいな。

いよいよ明日、島津の殿様と刀工田中國廣の漫画が読めますね。楽しみ(^-^)/

>ミニョンの母さん
結構T先生とのやり取りの場面に居合わせてますね~^^この時は驚きと笑いをこらえるのに必死でした^^ますますT先生が好きになったひとこまでしたよ^^
アイヌの歴史も、なんだか歪められているところが多そうですね・・・。特に、オハウ等を「アイヌ料理」と呼んではいけない、「アイヌの郷土料理」と呼ぶべき、という話の裏は、とてもつらい被差別の歴史があったようですね・・・。
でもきっと子供達は、そういった偏見を持たず、等身大のアイヌ(に限らず、諸民族)の歴史を学ぶんだろうなぁ。。

>なちぶーひとみさん
T先生、特に親に対して厳しい時にはかなり厳しいらしいです(・・;
それも相手とその子供を思っての事でしょうが^^;
厳しいのと同量の優しさや面白さも持っていらっしゃいますよ^^
「琉球の学び」も良いですねぇ。日本の北と南の文化の相違点と共通点など、色々学べそうです。

>25さん
エポック授業で弘法大師!!一体何のエポックだったんだろう!?
「T先生、その授業は弘法大師とは・・・?」
「関係無いです」
そう云い切って欲しい^^
今年度はどんな「アイヌの学び」が子供達を待っているんだろう?楽しみです^^
連休明けたら漫画の感想聞かせて下さいませ~σ.σ

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