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HOME>シュタイナー学校の授業

教壇にて亀を語る

或る朝、いつもの様に水撒き妖精としての仕事を果たし、畑の手入れをしていた七年生のポンパドールさんとボナパルトくん(いずれも仮名)に声をかける。

「ミミズはいませんか~?」

「あ、いますよ」

即答である。スコップで土を掘り起こすと、すぐにミミズが登場。流石は自然農、肥沃な土だ。

自分でミミズを所望しておきながら、私はそれを受け取りもせず、

「それ、亀にあげて貰えますか?」

とんだ意気地無しである。
いい歳をしてミミズを恐れる困った大人の頼みを快く引き受け、二人は四年生の教室の前で飼われているクサガメに、ミミズを与えた。クサガメは既に環境に慣れたのか、私や子供達が見守る中、美味しそうにミミズを食べた。

この亀が来たのは数日前。その日の朝もウンディーネ気取りで水撒きをしていたところ、四年生の教室の前に子供達が人垣を作っている。
何事かと思って見ると、コンテナの中に甲長20cmはあろうかというクサガメが泳いでいる。
四年生の鋳物師くん(仮名)が、登校途中捕らえてきたそうだ。

二年担任のウール先生(仮名)が「その亀、どうしたの?」と訊ねたところ、鋳物師くん答えて曰く、

「落ちてました」

って、誰がこんな大きな亀を落とすというのか。大きな亀をポケットやバッグに、ティッシュ感覚で携帯しているという話は、あまり聞かない。
おそらく川沿いの道を移動していた野生の亀だろう。

子供達に、これが「クサガメ」という亀である事やその名の由来、年輪からして10歳以上だろう、という話をしていると、四年生担任のジオード先生(仮名)、「詳しいですねぇ・・・」
幼少の砌から生き物が好きだった私、これまで色々な生き物を飼ってきた。無論、クサガメの飼育経験もある。

そういう次第で、ジオード先生の申し出により、急遽その直後の授業、「リズムの時間」を利用して、四年生の子供達に亀の飼い方についてレクチャーすることになった。それを踏まえて、この亀を飼育するかどうか決議するのだろう。子供達と車座に座り、亀語りを始めた。

「これは、爬虫類カメ目ヌマガメ科に属する、『クサガメ』という亀である」

こうした説明は、小学部の子供達には無用だ。こんな知識は高等部になってから、生物学の授業で学べばよい。
こういった学術的知識は、小学部の子供達にとっては冷たいものであり、生きた学びにはならない。
この時期は、実際に動物や植物に触れたり育てたり、観察や、大人から学術的ではない、興味深い生態等の話を聞く、所謂「直接体験」が重要である。
こうした体験を通して動植物に向けられた興味や愛、「不思議だ」と思う感覚が、高等部で学ぶ学術的、または解剖学的な生物学を、血が通った知識にしてゆくのだ。

私は無論、シュタイナー教師でもなければ、話す内容について何の下準備も無い。無いまま語りはじめたので、子供達が興味を掻き立てられる様な話は出来なかったが、それでも子供達は熱心に私の亀語りに耳を傾ける。

話は主に、飼い方についての心得や注意点を、私の体験を交えて語るものとなった。
餌はミミズや塩抜きしたニボシ。他にも色々あるが、子供達が自ら調べたり、実際に食べるかどうか与えてみて「食べた!」「食べなかった・・・」と一喜一憂する体験をして欲しいので、敢えて多くは教えない。ミミズとニボシ以外は、
「どんなものを食べるか、色々と試してみて下さい」
と語るに留めた。

他にも水の深さや、下に砂利を敷くと落ち着く事、水換えについて等のノウハウを教えたが、特に日光浴については、亀飼育の重要な事の一つだ。大き目の石や板等、亀が全身登って日の光に当たれる陸場と、暑くなりすぎない為の日陰を設け、亀が自由に体温調節出来るようにするのだ。

日光浴の重要性については、こうだ。

「亀やトカゲ等の爬虫類は変温動物である為、日光に当たる事によって体温を上昇させ、速やかな活動を促す。また、昼行性爬虫類の多くは、日光に含まれる紫外線を取り入れる事で、カルシウムを助けるビタミンD3を体内で形成する。これが不十分だと、骨代謝障害に陥る」

が、無論こんな説明は四年生には不要。とはいえ、

「亀さんは、お日様が微笑んでいると、嬉しくて元気になるのです。だから、亀さんはお日様の微笑を体中に浴びたくて、日向ぼっこをするのです」

という説明は、メルヘンの力が作用している一、二年生ぐらいならともかく、四年生にこう話しても納得しないのではないだろうか。結局、

「亀さんは太陽の光から生きる為の力を貰っているのです」

と説明する事で、日光浴の重要性を説いた。

一通り話した後で質問を受け付けたが、初めは無言で聞いていた子供達も次第に次々と質問を投げ掛ける。
中には私が色々な生き物を飼っている噂を伝え聞いている子もいて、「どんな生き物を飼っているんですか?」との質問が出た。

以前はフェレットやフルーツコウモリも飼っていたが、今飼っているのはイグアナ、イモリ、ドジョウ、カエル(ツチガエル、トウキョウダルマガエル)、アカミミガメ(ミドリガメ)、蛇(コーンスネーク)、と答えたのをきっかけに、ジオード先生が子供達一人一人順番に、それぞれどんな生き物を家で飼っているのかを発表させた。

何も飼っていない子もいるが、カブトムシ、クワガタムシからドジョウや亀、またウサギ等、それぞれのペットを順に披露してゆく。

最後にジオード先生がゆっくりと立ち上がり、穏やかな口調でのたまわく、

「先生の家で飼っているのは・・・

ゴキブリ・・・ナメクジ・・・ダンゴムシ・・・


・・・って、「巨人、大鵬、卵焼き」感覚で羅列しているが、それは「飼っている」んじゃなくて、

単にお宅に出没する生き物でしょう!?

ジオード先生が冗談や駄洒落が好きだ、という噂を忘れていた。突然の冗談に虚を突かれ、ツッコミも入れられず、子供達と苦笑するしかなかった。

・・・よもや彼は、それが云いたくて、子供達に一人ずつ飼っている生き物の発表をさせたのではあるまいか。
だとしたら、随分持って回った、長期展望の前フリである。




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コメント

気を取り合う生き物たち
学校は気をあげられる子供たちが沢山いるからいいねえ。うちで最高記録を更新していたどじょうが、今日お星様になりました。このところ、ヤゴ、蚕(50匹くらい!!!)、キュウリ、朝顔と生き物が増えてきたのに比例してドジョウへの気が落ちていたのが原因かと。気温も高くなったからなあ。
 先日その亀氏、コンテナから脱出を試みておりまして、みんな拾ってきた男の子に「はやく入れてやれよ」といっていましたが、彼はこわいのか触れず、困ってました。「甲羅もったら大丈夫だよ」といったらつかめたけど、ほんじゃどうやって拾ってきたんや、あんたはー。と思ってしまった。
おいしそう
フルーツこうもり、コーンスネーク、
なんだかおいしそうですね~

あのクサガメ、ヘルメットくらい大きいよね。びっくりした。
は~い!クサガメを拾って来た「鋳物師(いもじ)」の母です。
幼児の頃、つがいのアカミミミシッシッピーガメを素手で触って可愛がっていたセガレ。けれど、夜中に脱走され、捜査の甲斐もなく・・・ありゃりゃ行方不明に。そりゃピーピー泣かれましたわ。ごめんね~身の丈3倍のカメ飼育専用水槽から脱走するとは、母、思いもよらなんだ。

今回、大きいカメには怯んだそうで。ひょっとして、おじいの言葉を思い出してが一因かも?
帰省した時、「大きいカメさん、飼いたいよ~う」を受けた鋳物師のおじい、「オウ?すっぽんかい?そいつはテエヘン(大変)だ!指、食われっちまうぞ!食らい付いたら雷落ちるまで離さねえぞ!それでも飼うかい?」とからかわれ、びびってましたわ。

以来、根川多摩川で大きいカメに遭遇しても、「飼う!触る!」って言って無いなあ。喜んで見てるけど。

大きい=食らい付く?

そういや一年生の時のオニヤンマもそうだった。
夢中で捕まえて噛まれながらも「ジオード先生に見せるんだ!」と張り切って登校。
がしかーし。いざ放す時、びびって結局昆虫好きのドラゴンくんにバトンタッチ。

「虹が現れた空に解き放たれたオニヤンマが、まるでありがとうって言ってるみたいに、こどもたちの上を旋回して、すうって遠くへ飛んで行きました。」と感動を伝えて下さったジオード先生。

捕まえる時は、ただただ夢中なんだよね。

長文でごめん



>ミニョンの母さん
どじょうさんの御冥福をお祈りします。。基本的にどじょうは丈夫で、環境に馴染めば多少ほっといても平気な割に、ある日突然死んでたりするんですよね・・・。
鋳物師くんのお母様もコメントでおじいさんとスッポンの話を書いて下さってますが、亀レクチャーの時も「スッポンみたいに噛み付く事はありますか?」とのジオード先生の問いに、「大人しいから噛み付く事は無いけど、驚いて噛む可能性もあるから顔の前には指を出さない方がいいです、噛まれたらかなり痛いです」と答えたのですよ。その事や例のおじいさんの話がオーバーラップして、急に怖くなったのかも。
また、甲羅持ってても、もがいて引っ掻かれると割と痛いしね^^;学校に持って来る時も痛かったのかも。
そんな彼に贈る言葉。「痛みに耐えて、よく頑張った!感動した!」

>25さん
確かに美味しそう^^フルーツこうもりは文字通り果物を食べるからそう総称されているんだけど、コーンスネークの由来は謎らしいです。一説には、トウモロコシを狙うネズミを狙って、よくトウモロコシ畑に出没するからだとか。
>ヘルメット
って、そこまで大きくはないでしょ^^;
学校の野球チーム、「立川よだかスターズ」の子供達のヘルメットが全員生きたクサガメってどう?σ.σ

>鋳物師の母さん
身の丈3倍なのに脱走したんですか?凄いですね・・・普通、甲長の2倍あれば大丈夫と云われていますが・・・。
因みに鋳物師くんのクラスのある女子のミシシッピーアカミミガメは、室内でほぼ放し飼い状態だそうです^^
オニヤンマの話、良いですねぇ。。可愛いし、ほのぼのします。。
してみると、きっと鋳物師くんは、先生やお友達に見せるまでは夢中で、引っ掻かれたり噛まれたりの痛みも平気だけど、目的を達した後は改めてその痛みを思い出して、触るのを躊躇する、そんな感じなんでしょうかねぇ?
なるほど。
なるほど。そういうことかもしれなんですね。なんにせよ、ちょっとびっくりするぐらいでかい亀だったからなあ。亀って案外足早いって言うし、脱走には要注意かもよ、あのコンテナ。
>ミニョンの母さん
そう、亀って動き出すと結構速いです。野生の亀も、石の上で甲羅干ししているところを捕まえようとした時の、人影に気付いてから水中に滑り落ち、見えないところに泳いで逃げるまでの、一連の動作の俊敏なこと!
ところで、亀、卵産みましたね。有精卵の可能性が高いので、うまく孵化するといいのですが。。

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