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田んぼは避暑地じゃございません

6月に入ったある日、二年生の子供達の中から、誰歌うともなく田植え歌が歌われだした。それに唱和する子供達。そして担任のウール先生(仮名)に、
「今年の田植えはまだですか~?」
と質問してきたそうだ。
それまでクラスで田植えの話が出た訳ではないのに。
子供達の中に、一年のリズムが刻み込まれているのだな、と、ウール先生は驚いたそうだ。

子供達が学校の田植え祭に参加したのが一年前、一年生の頃の事である。
我々親も、希望者は子供達の引率も兼ねて、参加可能。
が、「当日は汚れてもいい服装で」とのお達し。

同級生母のトッケイさん(仮名)と私は、頭を抱えた。

ト・「ねぇ、どんな服で行く?」
私・「汚れてもいいような服って・・・そんな野暮ったい格好で・・・」
ト・私・「電車に乗りたくないよねぇ~!」

いっそかすりの着物に緋色のたすき、すげ笠を被った早乙女スタイルで電車に乗る方がずっといい。

さて、「シュタイナー」という鐘を、「農業」という撞木で撞くと、

「バイオダイナミック農法~~~・・・」

と響く。具体的な方法については敢えて割愛するが、太陽や月の運行によって種蒔きや収穫等の日程が決められていて風水的でもあり、また土に散布する調合剤の作り方が魔術的で、興味深い。
無論、これらはシュタイナーの鋭い化学的洞察によって考案されたのだが、鋭すぎて「化学」の概念を突き破り、魔法のように見えるから面白い。「こんなのは擬似化学だ!」と断じられても仕方がない。

が、実際にバイオダイナミック農法で作られた作物を食べた方の感想は、やはり一般の野菜よりも断然美味しい、との事。

また、作物の生命力を引き出す為、悪天候が続いて周囲の作物が全部駄目になった時も、バイオダイナミックの作物だけは無傷だった、という話も聞く。

そして、農薬を一切使用しないにも関わらず、虫が付かないそうだ。
戦地の負傷兵の傷口に蛆虫が湧いた、という話を聞くが、蛆虫は化膿、壊死した部分だけを食べ、健康な細胞は食べない。
同様に、虫が食べるのは植物の弱っている所であり、健康な植物は虫に食害されない、という。

ヨーロッパでは、ドイツやイタリアを中心に数多くのバイオダイナミック農場があり、オーガニック農法として定着している。

と、ここまで述べておいて何だが、我が学校で取り入れているのはバイオダイナミック農法ではなく、「自然農」である。

これは文字通り自然に作物を育てるやり方で、肥料や農薬を使わないどころか、雑草の除去すらしない。雑草と共に、育てる。
バイオダイナミック農法と共通しているのは、化学的な肥料や農薬を一切用いず、作物の生命力を遺憾なく引き出す、という点であり、これは今後の農業で最も注目すべき最重要事項であろう。

我が学校では、青梅に田畑を借り、この自然農を実践している。
昨年、我が娘・ぴーぽこ(仮名)ら、当時一年生だった皆も田植えの日にこの地へ赴き、田植え祭や田植えを見学した。

山の麓の自然農の田んぼは、水田ではなく、湿田。
上級生の生徒や教師、親達が、畦に立って田植え歌を歌う。
早乙女に扮した七年生の女子が、田植え踊りを踊る。
それを興味深く見詰める、ぴーぽこら一年生。

祭は田植え歌だけではなく、宮澤賢治の「青い槍の葉」も歌う。

「♪ゆれる~ ゆれる~ やなぎはゆれる~」

という歌詞に合わせて、しなやかに踊る子供達。
中でも学校代表者にして七年生(当時)担任のT.T.T.先生(仮名)は、どの生徒にも負けず、楽しそうな表情で踊っている。その腰つきは、まさに揺れる柳の様なしなやかさである。

参加した親達は作業着としてラフな服装。特に自然農班の母達の中には、麦藁帽子で首にタオルをかけ、鎌を片手にゴム長靴という、板に付いた野良着の方々も。

私も、断腸の思いで、「汚れてもいい」部屋着用のTシャツにジーンズという、その辺にタバコを買いに行く時のスタイルで、電車に乗ってやって来た。
長靴が、ピンクのレディース長靴なのが、「乙女」としてのせめてもの抵抗である。(期せずして、この長靴はウール先生とおそろいであった)
いや、普段の私も「Tシャツにジーンズ」には違いないが、私の中では「よそ行き用」と「部屋着用」に分かれているのだ。

そんな中、明らかに場違いな者が、約一名。

件のトッケイさんである。

いつもの様に、綺麗にお化粧。「汚れるのはどうせ下だけだから」と、上は小洒落たノースリーブに、下はテニスの時に穿いているというスポーティーなパンツ。
あまつさえ、ただ一人日傘まで差して、畦道に立っている。

私が部屋着で来たのに、彼女はこのスタイルである。きぃっ、悔しいったら。だが、トッケイさんよ、

ここは青梅の田んぼであって、

軽井沢のテニスコートではない。


自然農班のシェーさん(仮名)、後にトッケイさんに語る。

「あそこまで場違いだと、却って清々しいよね!今後もあのスタンスを貫いてね!!」

田植えは、湿田に鎌で穴を掘り、稲を植える。

彼女はミミズに怯えつつ、そのスタイルで田植えを敢行した。
挙句、帰路の途中でロングスカートに履きかえる、という離れ業までしてのけた。

二年生になったぴーぽこらは、今年も田んぼに行った。見学だけだった去年と違い、今年は一人一本ずつ稲を植えて来たそうだ。

今年は都合により、私もトッケイさんも田植えには参加しなかったが、彼女が避暑地にでも行くようなスタイルで田んぼに行った事は、未だに語り草になっている。

毎年この季節になる度に、私は云い続けようと思う。恐らく来年か再来年あたりには、
「またその話?・・・いい加減、ウザいんですけど・・・」
ぐらいの事は云われるだろうが、それでも私は云い続ける、子供達が6月になると田植え歌を歌いだす様に。
それが、私のリズム。


現在発売中の「コミック乱twins増刊・戦国武将列伝」(リイド社・刊)に、拙著読切「播磨軍記~羽柴秀長と淡河定範~」掲載。御興味のある方は御一読下さいませ。

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コメント

あき乙女さん こんにちは。
MIXIのシュタイナーのコミュでブログの紹介のトピックでお見かけして以来、たいへん楽しく拝見させていただいています。宮澤賢治の田植えの歌ってどんなのでしょう?しなやかな柳のダンスも見てみたいです。ピンクの長靴姿のあき乙女さんもなかなか個性的なたたずまいが想像されます^^。
うんうん、その通りだ。
そう、まさに来年もぜひその格好で。それでも足を向ける彼女はえらい!来年あたりは私も部屋着Tシャツでいきたいわ。化粧は大事よ、日焼けはしたらあかんからね。
>m醇Pg さん・・・って、文字化けでしょうか?
>mégさんですよね?こんにちは~σ.σ
先日、久し振りにそちらにお邪魔したら、リンクを貼って下さっていたので、早速こちらも貼らせて頂きました^^またちょくちょくお邪魔しますね~^^
賢治の田植え歌は、「春と修羅」という詩集に収録されている「青い槍の葉」という詩です。
真直ぐ空に向かって植えられた早苗を、「槍の葉」と例えているのです。
農業を大事にした賢治らしい詩ですよ。
私、靴のサイズは25.5なのですが、レディースのピンクの長靴は、25.0までしかサイズがありませんでした。それでも、多少きつくても我慢して、ピンクの長靴にしたのです^^;

>ミニョンの母さん
田植えの名物になって欲しいよね、彼女。本当に一人だけ浮いてて、おかしかった^^然もそれで成立しているのが、流石ですよ^^
そう、日傘とはいかないまでも、私も次回はせめて日焼け止めぐらい塗って行こうっとσ.σ
そうです。文字化けしちゃうのでmegにします。ちょくちょく訪れたいのでリンク貼らせていただきました。ご報告があとになってすみません。あき乙女さんからもリンクしてくださったんですね。ありがとうございます^^。
>megさん
私は結構アナログなので、リンクとか積極的に貼らないタイプなのです^^;(同じfc2ブログなら1クリックで出来るのですが)
でもリンクなりお気に入りに登録するなりしておかないと、足が遠のきがちになるので、時々訪れたい所には不精せずにリンクを貼ろうと思っていたところでした~^^
それに、リンクを貼ることを先方に報告するべきかとか、ネットでの礼儀にも疎いもので^^;
今後、そうした事も勉強していきたいと思いますが、ともかくmegさんと相互リンク貼れて良かったです^^
・・・って、「相互リンク」という言葉の使い方もこれで合っているのかよく分かっていない私ですが、今後も宜しくお願いしますねσ.σ

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