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HOME>シュタイナー学校の子供たち

聞け、十二年生の語りを!

最高学年の十二年生による、卒業論文発表会は、まさにシュタイナー教育の集大成と云うべきものであった。ここにその全貌を紹介したいが、猫のたまわく、

「二十四時間の出来事を漏れなく書いて、漏れなく読むには少なくとも二十四時間はかかるだろう」(夏目漱石著・『吾輩は猫である』より抜粋)

猫ごときに指摘されるまでもなく、五人の生徒一人につき一時間の発表、合計五時間分をくまなく書くのは至難の業だし、そもそも内容の全てを記憶しているわけではない。
丁度、生徒の一人が「印象派」について研究していたことに因んで、この発表会の印象を徒然に紹介したい。

まず、それぞれの研究テーマを紹介しよう。各個人の名称は、例によって仮名である。

「鉄の歴史とたたらの技法」・・・・・・白浪くん
「印象派の絵画と音楽」・・・・・・・・・バジルさん
「天文学の歴史と人間の意識」・・・ステッグくん
「芭蕉布と沖縄の歴史」・・・・・・・・・リコリスさん
「ローソクと歴史と科学」・・・・・・・・・ロッキーチャックくん

彼等の発表は、ただ論文を読み上げるものではない。それに沿って自分の言葉で発表し、また、研究内容に伴う取り組みを各自行い、発表した。

実際に布(芭蕉布は原料が高価だった為、麻布)を織ったリコリスさんは、模様がずれないよう、綿密に計算したそうだ。これが大変だったらしいが、男子諸君の苦労は更に涙ぐましい。

砂鉄を熱し、鉄を精製した白浪くん。稲村ヶ崎に砂鉄が多いと知るまでは、多摩川で何時間もかけて、一日僅か数グラムの砂鉄をちまちまと集めたそうだ。南米のガリンペイロでも、こんな根気はあるまい。

ステッグくんは、ニュートン式反射望遠鏡を作成。その凹レンズを作る為、ガラスを磨き粉で、ひたすら磨きに磨いたと云う。

ロウソクを作ったロッキーチャックくんなどは、ロウソクの材料確保の為、「ご自由にお持ちください」の牛脂を集めるべく、ストアーの精肉売り場巡りをしたそうだ。ストアーで輪ゴムやビニール袋をごっそり持って帰るオバちゃんでも、牛脂を根こそぎは流石に持って帰らないだろう。

彼等のこうした努力は、効率重視のスピード社会においては「ムダな労力」と一笑に付されるだろう。
が、こうした、一見「ムダ」に思えるような経験、試行錯誤に費やした時間や過程こそが、生きてゆく上での力を育むのだ。
高度経済成長期前後からの、プロセスを辿らず、すぐに結果を求めたがる風潮が、現在、この国の生命力を弱めている一因であろう。

ともあれ、彼らは自らの、一見「ムダ」に見える努力を客観視する余裕がある為、その苦労話を諧謔をもって、笑いに転換する術も心得ている。
ステッグくんの望遠鏡総制作費は結構かかったそうで、同じ金額を出せば更に高性能の望遠鏡が買える。
物質的価値観で見ると、「作るより買ったほうが早いし、安上がり」、という事になるが、

「そんな事は関係ありません!」

って、負け惜しみかい!?いやいや、こう断言し、会場を笑いに包んだ彼の言葉は、手作り望遠鏡への誇りと愛着を示しているのだろう。
それは、他の生徒達も同様、それぞれの作品は何物にも変え難い宝物に違いない。

印象派・ドビュッシーのピアノ曲・「レヴァリー夢」の演奏や、オイリュトミーを披露したバジルさんにしても、そうだろう。
演奏等はその場限りのもので、物質としての「形」は残らない。が、そこに至るまでの過程~ピアノの練習での努力や苦労、喜び、感動等~は、彼女の中に存在し続ける。

彼女が発表の途中でオイリュトミードレスに着替えるべく中座した間、他の四人の生徒がオイリュトミーの説明をする事で、場を繋いだ。
進行役のロッキーチャックくん、

「ステッグくん、オイリュトミーはどうですか?」

って、なんだ、その茫漠とした問いかけは!?
彼のこうした天然っぷりや語り口調はそれだけで独特の可笑し味を持っており、白衣を纏ってのロウソク作りの実演は、研究発表というよりあたかも「実験コント」である。
同じく白衣を着て、実験を手伝う白浪くんに対し、

「助手くん!」

って、オマエはどこの博士だ!?また、細かいハプニングも頻発し、彼の発表は終始笑いに包まれていた。

よく「笑いあり 涙あり」という煽り文句があるが、この発表会は大袈裟でなく、そうであった。
沖縄の歴史を語るリコリスさん、話が戦争や、島人達が本土によって虐待されたくだりに及ぶと、感極まったのか涙を流し始めた。
研究を進めるうちに、こうした歴史に胸を痛めていたそうだが、この感受性の豊かさはどうだろう。彼女の人間への深い愛を感じ、こちらまで泣きそうになる。
溢れる涙で続行が困難になった彼女に、バジルさんが出てきて飲み物をそっと手渡し、落ち着かせる。
そのさり気ない優しさに、生徒同士の確かな絆を見るようであった。

各生徒が上記のテーマを選んだ動機は、本や家族の影響や、過去の体験等、極めて私的で個人的である。
が、その後の発展はどうであろう。

例えば「鉄」一つ取っても、世界と日本の鉄の歴史や文化、鉱物としての鉄の、化学的解説や地理的産出地、その精製法、鉄製の実用品や芸術品、そして人間と鉄の関係等、文系・理系・技術・芸術織り交ぜて展開され、それを借り物でない、自分の言葉で発表してゆく。

また、例えばロウソクの材料を考察し、ロウソクが「鉱物界(石油)」・「植物界(ハゼの実)」・「動物界(獣脂)」全てと関わっていることに気付いた、との補足があった。
この様に、各自論文は完成させても、更なる発見や疑問が残り、今後もそれが尽きる事はないだろう。
この発表会は、恐らく論文の完成披露ではなく、更に発展する思考の通過点なのではないだろうか。

全生徒共通してこうした発展性が見られ、あたかも自分に向けられた愛が親兄弟、友人隣人、社会、そして世界、宇宙へと発展し、再び自分へと帰結する、そうした印象であった。

総じて高度な内容であり、発表を聞きにいらした大学教授の中には、彼等が高校生である事を忘れ、大学生の発表を聞いている様な錯覚を持たれた方もいらしたとか。

知識と実体験の思考への高まり、諧謔、生徒同士の確かな関係、人間愛をも垣間見たこの発表会、まさにシュタイナー教育、ここに極まれり、という印象を持った。

私が彼等の年代の頃は、どうだったろう。あまりの次元の違いに、愕然とする。
高校時代、男子数人集まれば、決まって開催されたのが「童貞サミット」である。
議題は「どうすればモテるか」「どのアイドルが最高か」等、童貞のたわ言で、たまに真面目な人生論を提案しても、多くの場合、棄却される。
挙句、

「片想いしているクラスの女子と、美人女優に同時に告白されたら、どっちを選ぶ?」

などという、到底起こり得ない状況を想定し、皆で大真面目に論じ合ったものだ。

当時の私に云いたい。

「そういう心配は、モテてからしろ!」



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コメント

どちらも同じってことで
そうか、、みたかったな、発表会。
でもチビがいるとどれかはぶかなければいかんので、、、。限界がありまする。
で、おんなじでさー、女子高生は女子高生で下らない話をしていたんですよ、まったく。でも私のみるところ、女の方がしたたかですね。自分をごまかして生きるすべを知っている。まあ、楽しかったけど。5年間寮暮らししてたから、、、、(聞きたいだろー)
>ミニョンの母さん
ここに書き切れない位、良い発表会だったよ。一部を紹介するつもりが、こんなに長くなってしまった程。(長文なのはいつもか^^;)

私の精神的経緯は、
幼児~思春期初期・・・乙女
思春期後期~成人・・・男
で、一時期乙女に戻り、最近はやや乙女よりの中性、といった感じなので、「女子高生の下らない話」も少しは想像つくよ*^^*
でも、童貞時代はまだ女子に幻想抱いていたからなぁ^^;
今度呑みながら、思春期の馬鹿自慢大会でも催しますか^^

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