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二年生のズルさと「ライネケ狐」

別のブログにて、「二年生と動物寓話」について、記事にした。

シュタイナー教育において、子どもの中に「ズルさ」が生じる二年生頃、ズルい動物が沢山登場する動物寓話に取り組む。詳細は上記ブログ記事に記しているので、興味がある方は、そちらを参照頂きたい。

娘・ぴーぽこ(仮名)が通うシュタイナー学校では、その題材として、ゲーテの「きつねのライネケ」をよく扱う。

担任の先生が読み聞かせたり、劇をしたりと、クラスによって工夫して取り組んでいる。そうして子どもたちは、ライネケや他の登場人物ならぬ登場動物~狼のイーゼグリムや熊のブラウン、猫のヒンツェ、ウサギのランペ、そして王様ライオンのノーベルたちと一体化するのだ。

…こう書くと、愉快なライネケと仲間の動物たちの物語に思える。実際、学習発表会などでの「二年生・きつねのライネケの劇」では、毎年のようにその年の二年生が、それぞれのカラーの「ライネケ劇」を、愉快で楽しく演じているのだ。

が、この「きつねのライネケ」、大人が読むと「愉快」どころか「不快なライネケ」極まりない。妻・みほちなど、一通り読んだ挙句、

「何、この話…なんの教訓があるン?
との感想を漏らした程だ。まったくである。

なにしろ、「ズルさ」がこの取り組みのテーマなだけあって、きつねのライネケは、ズルい。
ただ、「ズルさ」つまり「ズル賢さ」も用いようで、例えば一休とんち話を読んでも、

「一休さん、ズル~~~い!!」
などとは思わないだろう。おはぎや水あめを盗み食いしといて、頓知でもってお咎め無しなのである。ズルい小坊主だ。
が、彼の場合、「ズルさ」を「頓知」に昇華しているから、小気味が良いのだ。

一方、ライネケ狐はというと。彼の行った悪行の数々を羅列しよう。

*熊のブラウンを騙し、ブラウンは顔の皮が剥がれる。
*猫のヒンツェを騙し、ヒンツェは片目を失う。
*カラスの夫婦・メルケナウとシャルフェネベを騙し、妻のシャルフェネベを殺害、食べてしまう。
*ウサギのランペを殺害、首だけ残し、食べてしまう。
*ランペの首を王様ライオンのノーベルに送りつけ、その罪を司祭の羊・ベリーンに被せる。ベリーンはこの冤罪の為、死刑となる。
*狼のイーゼグリムの妻・ギーレムントを騙し、強姦。


尤も、ギーレムントへの陵辱は、子ども向けの翻訳本には「ちょっかい」程度に表現されているが、ゲーテの原文訳の方では、明らかにそれを行っている。
他にも枚挙に暇なく、殊に宿敵・イーゼグリムに対してはお互い何度も泥仕合を演じた挙句、最後の決闘で、ズルい手口で目玉と金玉を潰して勝利する。(金玉のくだりは、うちで読んだ子ども向け訳では、流石に割愛されていた)

かくて悪行の限りを尽くしたライネケは、持ち前のズルさで全て切り抜け、王の信頼を勝ち取り、優遇されたのであった。で、世の中なんて、こんなもんでしょう的な、締め。

・・・この話、なんだろう?

普通の流れだったら、ライネケは最後に懲らしめられて終わる、それが物語のバランスというものだ。これがもし現在の連載マンガとかで、最終回がこんな終わり方だったら、ゲーテは即、巨大掲示板で袋叩きであろう。

実はこの話、ゲーテのオリジナルではない。
・・・パクリ?それはそれで、今だったらゲーテは即、巨大掲示板で袋叩きであろう。
いや、「パクリ」とも違う。ヨーロッパでは中世頃から親しまれており、何度も再話されている動物叙事詩「狐物語」を、ゲーテが再構築したものなのだ。
元来は、おそらくグリム童話と同様、根源的叡智から汲み取られた物語だったのだろう。

ゲーテはこの物語の終わりに、このように述べている。

「作者は真実と寓話を織りまぜた
それは諸子が悪と善と分かち、知恵のねうちを知るよう
~中略~日ごとに教えを受けるようとの老婆心に外ならぬ」
(訳:板倉鞆音 人文書院「ゲーテ全集8」より)

ともあれ、この物語は悟性的に解釈するべきものではないだろう。グリム童話などのメルヘンと同様、この世界に浸り、内から湧き出ずる感情を大事にすれば良いのではないだろうか。
子どもへの読み聞かせも同様、残酷な場面もあるし、最後に悪が勝つという構図ではあるが、子どもはこの物語の奥の、根源的叡智に触れる筈である。

因みに私個人の感想としては、王・ノーベルが遠山の金さんだったら良かったのに、と思う。講談やドラマの金さんは、自らも遊び人であった過去を持つ為、悪人のズルい手口にも通暁している。
と云うか、金さん自身、大立ち回りで悪人を捕らえさせているのだから、いわば「別件逮捕」である。金公のやり口も十分ズルいではないか。

だが、講談の金さんの姿は、シュタイナー流に云えば、「地上界でアーリマン、ルツィフェルに影響された魂が、自らのアストラル体を浄化し、再び赤い薔薇の花のようになった」と映る。

人間が獲得した「ズルさ」とどう向き合うか、そもそも「ズルさ」とはどのような力か?
そうしたことを鑑みて、子どもから湧き上がる「ズルさ」に向き合うと良いのではないだろうか。

娘・ぴーぽこが二年生当時、「ライネケ」の登場動物の中で誰が好きかを聞いてみた。
動物としては猫やウサギが好きだから、おおかたヒンツェかランペあたりかと思いきや、以外に長考している。曰く、

「う~~~~ん・・・ランペは食べられちゃうしなぁ・・・ヒンツェは片目を潰されるしなぁ・・・」

いやいや、誰が好きかを聞いただけですが。流石に子どものメルヘンと一体化する力の強さを感じた。
別段、オマエが取って食われるわけでも、目を潰されるわけでもないのに。


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